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156 未来
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もう二度と向けられることはないと、諦めていたイズミの笑顔。それを見ていたら我慢などきかなくなってしまった。
酒を飲ませたのも、こうなることを見越してのことだった。こんな手段を使うなど、なんたる外道なことかと、そう自らの行為を卑下してみも、イズミの身体に触れる手を止めることはできなかった。
ほんのりと汗ばんだイズミの胸に口付ける。滑らかな肌に舌を這わせ、薄い皮膚に何度も口付ける。
勃ちあがった花芯を擦りあげると、彼は身体を反って反応を示す。先走りを全体に馴染ませ、徐々に手淫を早めていく。
跳ねる身体。目の視点すら合っていないのに、必死に私に縋り付いてくる。
その行為のもどかしさに、思わずイズミの下肢から全ての衣服を奪い取った。
成人しているというのが信じられないほど、幼さを残す肢体。
イズミの表情が、緊張で強張っているのを見て、貪りつきたい衝動を堪える。
「大丈夫だ。今日は入れない」
自らの言葉で戒めながら、イズミの太ももに指を這わす。
吸い付くような肌の質感。薄い体毛。幼さの中に漂う色気はなんと妖艶なことだろうか。
「酷くはしない……」
そういいながらも、理性を堪えるのは大変だと思った。
冷静になれと言い聞かせながら、イズミの身体に触れる。
先走りを指に取り、後肛の蕾を解す。
イズミの顔を伺いながら、優しくそして丁寧に、指をそっとイズミの中に埋めていく。
滑りが足りない後肛が齎す指への締め付けは相当のものだった。
回復の術をかけすぎると、せっかく慣らした後肛は直ぐ狭まってしまう。
「痛くはないか……?」
「……っ」
イズミの息が漏れる。良い所だけに触れ、快楽だけをイズミに施す。
「………………っ」
決して強すぎる快楽は与えない。
「…………っ……」
射精し易いように、我慢させないように気を使って愛撫すれば、イズミはそれに従い素直に快楽に身を任せ、求めるように腰を畝らせる。
「イってもいいのだぞ、イズミ」
その頰はますます紅潮し、目を潤ませ荒い息遣いを繰り返す口元から、小さい歯と舌が見え隠れする。
絶頂が近い。イズミが達する瞬間――その瞬間さえも、イズミの顔から目を離さなかった。
痙攣する身体。眉間に皺を寄せ、快楽に身を任せた表情。イズミも達しながら、私を見ていた。
「……っ!……!!」
開いたままの口から溢れた唾液は唇を伝い、部屋の薄明かりで艶めくように光る。
イズミの顎を持ち、唇をなぞり唾液を拭う。
そして、その唇に口付けしようとして――――躊躇った。
それをしたら、もう自制が効かなくなるとわかったからだ。
(抱かないと……抱かないと決めたのだ……)
衣服の中で既に張り詰めてしまっている自身の欲を落ち着かせるためにも、今口付けるのは懸命ではないと思った。
しばし欲が落ち着くのをまって顔を上げれば、イズミは眉を顰めて顔を歪ませていた。
悲しそうに、辛そうに、愛らしい顔は今にも泣き出しそうだった。
「嫌だったか……?」
また、気づかぬうちに無理を強いてしまったのだろうか。
先程まで微睡むように微笑んでいたのに、どうしてこんな表情になってしまったのかわからなかった。
暫く息を整えていたイズミは、ゆっくりと、顔を横に振った。
震える唇を噛み締めながら、彼は笑う。
甘えるように、私に腕を伸ばしてくるイズミを、再び抱きしめる。
「すまなかった。もうしない……」
その謝罪に答えるように、抱き返してくる腕に力が籠る。
この子にはもっと気を使い、もっと慈しんで大切にしなければならない。
自制を、もっと強い意志を持たなければ――――愛しい存在を抱きながら、そう胸に誓う。
『陛下、リィーリの泉が……』
思い出されるのは、ジーナの言葉。
『リィーリの泉の水が、枯れてしまいました……』
それは、この国の存亡の危機となることなのだ。
先先代の王の統制が滅んだ時も、源泉の水は枯れていたと言われている。
水神の文献を全て処分したのが先先代の王であるから、その時何が原因だったのか、今になっては知る由もない。
ただわかることは、彼が統制していた嘗ての王国にも、確かに水神が存在していたのだ。
――――水神が存在しながらも、泉が枯れる。
齎されるはずの恵みどころか、最後の糧さえも奪われ、結局は滅びの道を歩むことになった。
腕に抱いたイズミが、徐々に穏やかな寝息を立て始める。
意識が完全に落ちたイズミの首筋に顔を埋めて自身の猛りを衣服から取り出す。
この子を目の前にして、抱くことも出来ずに自身を慰める行為をするのは何度目だろうか。
最初は屈辱でしかなかった行為も今では慣れ、静かにその身を高みへと押し上げていく。
(全く、情けないものだ……)
イズミを城に迎え入れてから、性に奔放だった生活が一変した。
以前は足繁く通った後宮は、イズミと触れ合う機会が多くなってからは形ばかりのものへと成り下がり、私の性を満たす役割は果たさなくなった。
幼い――と思っていたイズミを抱くこともできず、何度かそこへ足を運んだこともあったのは事実だったが、イズミを水神の部屋に閉じ込めてからは後宮を閉鎖し、手つきの寵姫は修道院へと下がらせた。
何人かは子を残すためという名目で温情を訴え城に残っているが……けれど、イズミと身体を重ねてからは、後宮に対する欲もなくなっていた。この子を抱くことができないのなら、こうして自らの手で慰めるのでも構わない。
ほんのりと香る汗の匂いと、酒と果実の匂いが入り混じる。
甘い。絡みつくように甘い匂いがする。
その匂いを嗅ぎながら、イズミ腹の上に欲の飛沫を吐き出した。
首筋に触れるイズミの吐息さえ、まるで樹液のように甘く感じた。
「甘い……?」
次第に冷静になる頭で、そんなはずはないと考え直す。
確かにイズミは甘く良い香りはするが、今この空間に漂っている匂いは、確かに「甘い」のだ。
「何だこの匂いは……」
匂いの元を探れば、それはイズミが飲んでいた酒が、抱きしめた時に零れた痕だった。
(まさか……)
グラスに残された酒を手に取る。この国に実る果実は甘くなどない。この国の果実は昔から、それは遥か昔らずっと、食用にはならないものだった。苦味、渋みが非常に強い。城での整った環境で育てなければ、場合によってはその成分には毒素も含まれる。
あえて好んで食するのも稀で、それでも食事の装飾や調味料などのため、そして緊急時の水分の備蓄として西宮で育てられているものだった。
水も限られ、瑞々しいはずの果実ですら人の乾きを潤すことがなかったのに。
一口飲めば、馴染みのない強烈な甘味は眉を顰めるほどだった。
「これは……」
酒と混じってもこの甘さだ。いつから果実はこんなにも甘く変化を遂げていたのだろうか。
皿の上の果実を口に含めば、それはグラスの中のものと同じとは思えないほど、酷い味がする。
「イズミが触れたからか……」
まるで浄化されたかのように甘くなった薄紅色の果実酒を見て、改めて水神の存在を思い知る。
再び口へと流し込んだ果肉は酸味と甘みが滲み出ており、イズミが好んで果実を口にする理由が初めて理解できた。
「これが、水神か……」
雨を降らせるだけではない。水神が齎すものはそれだけではない。
(――――この美しい水神と、私の行いの全てに、この国の未来がかかっているのだ……)
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