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通じ合う想い
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松潟さんは「迷惑をかけてすまない。」そう言って、男を連れて去っていった。
梅村君の家に取り残された俺達。
何がなんだかさっぱり訳がわからなくて固まっていると、河崎が少しだけ笑った。
「お前、今アホ面してっぞ?」
***
梅村君には、お湯で濡らしたタオルで拭いて汚れを取ったあとに服を着せてあげた。今は、若干辛そうな表情をしながらも新しく敷いたシーツの上で眠っている。
その間、汚れた空気を清めるかのように葉山は窓を開けて換気をし、河崎は荒れている箇所を綺麗にした。
漸く落ち着いた頃、俺と葉山と河崎は机を囲んで座る。
「で? お前ら、なんで来たの?」
再度確かめるために言うと、苦笑をした河崎がいった。
「俺は、お前が梅村とうまくいってるだろうと思って……差し入れをしに来たんだ。」
言い終わったあと、葉山に視線をやる河崎。
「ああ、俺は、梅村がトチってる頃だと思って、助っ人を用意してきたんだよ。まさか、ここに着く前に浮かれた河崎に出会うとは思ってなかったんだけどなー」
ニタリと河崎を見る葉山。
「あー、要するに、二人共考えてることは違えど、気になって見に来てくれたんだよな?」
喧嘩になる前に俺がそう言うと、二人がこくんと頷いた。
「そうだ。若葉さんのことについては、河崎にはさっき伝えたけど……セツは梅村から直接聞けよ?」
葉山が俺を見てそういった。俺も、その方がいいと思ったので縦に頷いた。すると、葉山は少しだけ微笑んで「上等だ。」と言って立ち上がった。
「葉山?」
「もう、俺の役目は終わったからな。帰る。」
黒縁メガネを装着して、玄関のノブをひねる。
「あ、待て! 俺も帰るよ。」
それに続けて河崎も立ち去ろうとする。そして、何かを思い出したかの様にニット笑ってこちらを見る。
「お前、頑張ったな。男を見せてくれてありがとな……まあ、本当に見せなきゃなんねー奴はすやすや寝てるが。梅村が起きたら、もう一度頑張れよ。」
”パタン”
玄関の扉が閉まる。
「ありがとう。」
聞こえただろうか?
閉まるのと同時だったから、きっと聞こえていないだろうな。
仕方がない。また今度あいつらにあった時に、お礼を言おう。
気持ちを切り替えて、ベッドに寝ている梅村君のそばに行く。
泣き腫らした顔。
冷やさなきゃな。
俺はタオルを濡らして、君の腫れた真っ赤なまぶたにそっと置いて「ごめんな」と呟いた。
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