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刹那の日常 2
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「梅村君!」
今日こそ、今日こそは君と話す。
俺は心にそう決めて、逃げるように足早に去る梅村君を追う。
「梅村君、どうして無視するの?!」
君の方へと問いかけても、振り向いてくれない。答えてくれない。
「突然、そんな反応されても俺困るんだけど!」
徐々に近づく梅村君と俺との距離。梅村君は身長が低いので、背が高い俺の方が歩幅も大きいのだ。
行き着く先は、行き止まり。
「梅村君。」
壁を前にして立ち止まる背中を見つめて君の名前をもう一度呼んだ。
「梅村く「うるさいんだよ。」……え?」
今までに聞いたことがないくらい低い声が俺の声を遮った。
「もう、セツのこと飽きたんだ。」
こっちを向いてくれないので表情はわからないが、声と肩が震えているのは分かる。
「梅村君、それ嘘でしょ。」
「!?」
俺は今まで君に無視されてきた苛立ちのせいか、君に優しくできなかった。
梅村君の肩を掴んで思いっきりこちらに引っ張った。君の顔がこちらを向いた瞬間を見計らってキスをした。
「せっ、つ、んっ!」
バタバタと俺の胸を叩く梅村君の手。俺はそれにも動じずに貪るようなキスを繰り返す。
「んっ!くる、し……」
息をするために開かれた口に舌を入れて絡まらせる。クチュクチュと卑猥な音がろうかに鳴り響いた。
君がいけないんだ。俺のことを無視するから。
俺は君が好き。それなのに突然避けられて「はい、そうですか。」なんて言えるわけがない。
ガクガクと震えだした君の体を抱きしめて支えてあげる。
飽きたなんて嘘。
俺とキスをしている今だって、熱い視線で俺を見てきているくせに。
「ちゅっ」
最後に軽くリップ音を出して唇から離れると、名残惜しそうな目でそれを見つめている君。
俺は、君の頭を片手で撫でながら言う。
「そんな顔して飽きたとか言われても、説得力がない。」
ぜいぜいと空気を取り入れる梅村君は、涙目に俺を見ていた。
「気のせいだ……もう、セツには、飽き、たの……」
漸く話せるようになった君は苦しそうに俺にそう言った。
「もう用は無いでしょう? 話してよ。」
「嫌だ。」
抱きしめていた腕の力を一層強めた。
今、この腕を話してしまったら、一生君と触れ合えられない気がするんだ。
「梅村君が、何があって突然俺を避け始めたのかちゃんと事の理由を話してくれない限り、離さない。」
「他の人達から見られるかもしれないだろう!」
「いいよ。」
「え?」
怯える君に落ち着いてもう一度言った。「いいよ。」
「俺は、他の目なんてそんなに気にしない。第一河崎だって誰とでも寝てたやつだぞ。それでも俺は一緒にいる。逆に周りに敏感になりすぎて梅村君を失うほうが嫌だ。」
俺がそう言い切ると、梅村君は瞳を揺らしてうつむいてしまった。
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