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梅村の日常 4
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河崎が俺の部屋から出てしばらくが経つ。
「被害者面……周りの奴が、傷つく……」
言われたことをずっと繰り返しつぶやいていた。
被害者面?
そうだよ、だから俺は汚いんだ。自分が一番可愛い。何を今更思い込んだりするものか。これが、俺の本当の姿なのだから。
傷つく?
だから俺はセツにこれ以上傷ついて欲しくないから近寄らないんだ。
セツを粗末に扱う?
違うよ。俺は誰よりもセツを大事に思っている。
本当に、俺はセツがすごく好き。それだけは分かる。セツが俺じゃないほかの誰かと……幸せに……
「うっ、く」
セツの幸せを祈ってあげるべきなのに、それさえもできない。涙が出てくる。俺は強くない人間だった。
チクリとする。
でも、俺は若葉さんとずっと付き合っていたのだ。浮気とかそういう関係は俺自身許せないのに、俺は大好きなセツを、知らぬ間にその行為で傷つけてしまったのだ。今更俺が……
浮気を本気にすればいい――
ふと、河崎に言われた言葉が頭の中を過(よぎ)ぎった。
顔を伝って落ちる涙が、溢れて止まらない。
セツ、君は許してくれるだろうか。この俺を。
セツの幸せを祈ってあげれない程、弱いこの俺を。
俺は震える手で電話をかけた。
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