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変わらぬ思い 2
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好きだ。好きだ好きだ好きだ。
俺は透君が好きだ。
正直、昨日も透君のことを思い出しただけで興奮した。何年も会っていなかったのに、この前会っただけで透君の匂いや感触、すこし低めの体温を思い出した。
溢れるように思い出される君の記憶。
俺は君と一度離れたっていうのに、君の依存性はとても高くて、結局離れられなかった。
「昨日の電話……」
「よ! 若葉!」
「うわっ! ちょっ! 松潟!!」
「おはようっ」
登校途中で松潟が俺に勢いよくぶつかってハグして来た。
「全く、お前はもうちょっと普通の挨拶が出来ないのかよ!」
「ははっ! だって若葉を見たら思わず走っちまうんだもんよ。」
相変わらずへらへらと笑う松潟。
「てかさ、いつの間に俺のこと名前で呼ぶようになってんの?」
「えー、昨日から。」
「え、そうだっけ?」
「若葉も俺のこと名前で呼べよ。」
「え、まあ。そうだな。俺たちも3年になるしな。」
「そうそう、逆に今でも苗字呼びって方がおかしいよ。」
松潟は、俺の方にじりじりと歩み寄る。
毎回思うが、コイツはいいやつだが俺と妙に近づきたがる。
「遥、近い。」
初めて名前で呼ぶのがこんな状態である。だが、コイツは目をらんらんと輝かせて「サンキュ!」と言った。
「へいへい、どういたしまして。」
俺がいい加減に返事をしても、嬉しそうな姿は変わらない。
初めて会った時から思っていたけれど、コイツは変な奴だ。
「おはよう、松コンビ!」
「衛藤、おはよう。」
「……。」
衛藤カナメは、同級生だ。同じ学科。つまり、写真科だ。
ちなみに、先ほど松コンビと言われていたが、それは俺と松潟のことだ。どちらも松が苗字についているのがアダ名の理由だ。最初は嫌だったが、慣れてしまった。
「はあ、相変わらず松岡は絡みやすいのに、松潟は関わり辛れーな。」
黒縁メガネを人差し指で上に直して松潟を困った目で見ていた。
確かに、松潟は衛藤の挨拶を必ず無視する。理由は不明だが。コイツはもしかしたら、人見知りなのかもしれない。
第一印象とはエライ違いだな。
嗚呼……
せっかく、透君との思い出にふけっていたのにな。これじゃ、台無しだ。
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