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変わらぬ思い 3
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「ん? なんか松岡、今日あまり元気ないな。」
心配そうに衛藤が俺の顔をのぞき見た。
「ぐえっ」
それを見た松潟……いや、遥が俺の襟を後ろにぐいっと引っ張ったせいで俺は変な声が出た。
正直、苦しいので襟を掴んで引っ張るのだけはやめて欲しい。
「ゲホッ……俺はいつも通りだよ。」
遥の手が離れたと同時に、襟の第一ボタンを開けて苦しさから逃れる。
元気がない……ね。
体は元気だけれども、透君の意味深な電話が俺の中で引っかかっていている。多分そのせいだろう。とは言え、友達に心配させるのも良くはないな。
遥と衛藤は未だに俺の様子を伺っていた。
「ほら、何しんみり俺を見てんの?! 教室入ろうぜ!」
「え、ああ。」
「若葉がそう言うんなら。」
俺は笑顔を作って友達二人の背中を押した。
「若葉。」
衛藤はさっさと自分の席へと歩いていったので俺からすぐ離れていったが、遥だけが俺の方を離れずに立ち止まっていた。
不思議に思って遥の顔を見ると、囁かれた。
「俺は、若葉の味方だから。何かあったら、俺に言えよ?」
無駄に男前な遥がそんな言葉を言うと、さらに男前になるんだな。
「ははっ、何言ってんだよ遥。ありがとな。でも、本当に俺は元気だから、気にすんな。」
俺が再度そう言って説得すると、渋々自分の席へと歩み始めた。
大学に入って、友達が出来た。
俺のことをすごく大切に思ってくれる友達。
高校の時はまんべんなくいろんな人と接してきたが、大学に入った俺は特定の人としか深く関わりを持たなかった。だが、それもいいものだ。狭く深く。
窓際の一番前の席に座って、外を眺める。
空高くに雲が浮かんでいた。
電話の向こうの君はひどく緊張していた。それがどういう意味なのかは俺には分からない。だけれども、あまりいい気はしなかった。何か、嫌なことが起こりそうで怖い。
そう、例えば、別れたい……だとか。
そんなの、俺は許さないからね。
だって、君を思い出しただけで、もう俺の体は疼いている。君と俺との相性はきっと抜群にいいはずだ。儚い君を俺が守ってあげる。ずっと、いつまでも。
一時は気の迷いだった。
離れたこと、後悔している。
だからもし、君の目の前から去った過去に怒っているのなら、許して。
その分、体に気持いことをたっぷりしてあげるから。
俺は、にやけた顔を手で隠しながらそのままずっと冬の冷たい空を眺めていた。
離さないよ。
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