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業の恋~二次創作戦国。政宗生母義姫
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城に誰もいなかった
病み臥っているというから輝宗様が見舞いを
許してくだされた、のにっ
ここに居ったか
にやりと笑った顔は人でなく
犬畜生のものだった。
輝宗様をお慕いしている。
初めてお会いしたのは婚儀の席で
まだ心根は子供であった私を、
ゆるりとと、
待って待って下さった。
ああ、この方が初めての方ならどんなに良かったか。
でも私は九つのときから兄、義光(よしあき)のものだった。
父もそれを知っていた。
私を押し拉(ひし)ぐ兄を見、父は言った。
どうせ他家に嫁がせる。
最上を忘れぬよう、しっかり身に刻みつけてやるがよい。
されどゆめゆめ子は生すでないぞ。
私は泣いた。呪った。
でも周りは噂した。
最上の兄妹(あにいも)は仲が良い。
聞くのも嫌だった。
輝宗様は大人で、いつも何となく余裕があり、お側にいるだけで、私は心が癒された。
それだけにこの汚れた身が、申し訳なくてならなかった。
初床では卵の殻に入れた鶏の血を用いた。
そんな自分であったから、梵天丸が授ったとき、どれだけ嬉しかったか。
梵天丸は美しくて、それこそ玉のようなおのこで。
でも幸せはつかの間だった。
帯をしめなおすのも逃がれながら。
下女を郎党をせかして逃げるように伊達領に戻った。
とても不安だったので、輝宗様にはしたないおねだりをした。
義ともあろうものが、どうした、と仰せながら、輝宗揺は鷹揚に、かわいがって下さったけれど、時既に遅かった。
えづく。
子が。
父(てて)は…
流れよと
流れよと祈りながら祈りながら、既に生み月に入り、疱瘡を患うた梵天は、東北一の美女と名高き義母(ぎぼ)様の…寵(ちょう)するところとなっていた。
ひとつまなこが壊死し、醜く飛び出したという。
義母様は、己れの育てのしくじりを認めぬ。
梵に母者はそなたを見捨てたと…吹き込んでいるそうな。
そうなら。
それに乗じて私は鬼になろう。
産み月に、前につき出した尖り腹はおのこのしるし。
このややがおのこなら、兄者は当主に据えよと言うてくるに違いないのだから。
演じ切ろう鬼の母。
容姿醜くなったと梵天を疎み続け、この次男坊をかわいがろう。
幸い梵天には片倉の家のきたがついている。
めったな子供には育つまい。
かわいがってかわいがって育てておきながら、この腹の子はほど良いところで私が弑(しい)るのじゃ。
私は伊達を守る。
最上の下には決して置かぬ。
これが私の恋。
業の恋じゃ。
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