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永遠の孤独~二次創作戦国BASARA
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絆の力で天下を統べる。
剣を捨て、裸の拳。
なのになぜだ。
四方八方敵ばかりだ。
嫉妬されてんのさ。
織田の時代を生き延び、豊臣の時代を生き延びた。
今やクレイジーなくらいの勢力だ。
豊臣についてた連中も、半分以上おめえについてくってよ。
ありがたいこっちゃねえか。
そうなのだがな伊達政宗。
当のお主(ぬし)は儂と行動する気がないではないか。
長會我部などは儂を恨んで喧嘩しに来ると。
何でだ。
儂には全く恨まれる覚えがない。
俺は知ってる。
長會我部が激怒してるのは、かわいがってきた手下を、ほとんど全員皆殺しにされたからだ。
その場には徳川の旗が落ちてたという。
いやなに、だから犯人が徳川だなんて、そんなこどもみたいな当て推量、俺も小十郎もしねえ。
けど長會我部は一本気な男だ。
信じたら、突っ走る。
俺は裏があると思う。
思うが…
出張ってゆくには及びませぬ。
政宗様のお命は奥州のお命。
無駄に散らしてはなりませぬ。
だよな。
となると誰が長會我部を正気に返してやんだ?
(一同黙り、座がしんとする。)
(ややあって声をあげたのはこの御仁だ)
なぜか私の出番みたいですね。
孫市ねえさまもご一緒してくださるでしょう?
な、なぜ私が!
だって海賊、おねえさまと実は仲いいでしょう?
私の言うことは聞かなくても、孫市ねえさまならあるいはね。
だから鶴姫、私は契約の鐘無くしては動かないのだと…
亡骸も見た。
話も聞いた。
これは徳川軍のやりようではない。
どちらかと言えば毛利の使う手だ。
情報戦。
疑心暗鬼をかきたてる。
けれど。
毛利なら、なぜその後、波状攻撃しなかった。
もっと言えば、毛利の軍略は、あくまでも安芸の専守防衛。
自ら仕掛けて敵を作ることは…しない筈…
ですよね。
私も毛利さんはそういうタイプだと思います。
そもそも何で徳川さんの旗。
皆さんに和平を訴えてる徳川さんを疑わせるとどんな得があります?
得…
そもそも得がどうとかだろうか。
ここには力を見せつけたい意図しか感じない。
力を見せつけるやり方と言えば、豊臣のお家芸だが、豊臣は滅んだ。
今の覇者は…
!
さすがは雑賀孫市。
儂の仕業と見破るとは。
なぜだ家康。
既にほとんど天下人だというのに!
天下人ねえ。
耐えて忍んで待って得た。
もう一人の儂の言う、絆の力でな。
だが儂にだって野心はある。
思い切り相手をぶちのめし、相手の血飛沫を全身に浴びたいというね。
家康!!
そうとも。
この家康の内にある、戦いの欲求、血の渇望。
和議ばかりでは収まらぬ。
儂は血を欲しておるのだ!
家康。
ではない。
これは多分、もう一人の家康。
我々が知る善良なる好青年ではなく、その身内に眠っていた、もう一人の家康だ。
幼い頃から人質で、明日どうなるかもわからなかった。
長じて織田家に与してみれば、信長殿は苛烈激烈。
妻子を我が手で殺させられたこともあるという。
明日何を言い出されるかわからなかった日々と、その突然の終焉。
隙をつくように現れた豊臣がやはり専横で鳴らすので、家康殿は善であるよりなくなってしまった。
野心も、口惜しさも、汚い手も、内包しているのに使えない。
愚痴る相手さえいない。
そんな家康殿は邪悪な自分を押さえつけ、押さえ込み、ついにこのように暴発させたのだ。
なるほど。
事情はわかった。
だが事情がわかるのと、俺の怒りが収まるのは別だ。
俺はぜってえ許せねえ!!
鬼の目となって元親が現れる。
なぜだか毛利も現れた。
瀬戸内は安芸の前庭。
ここで謀略するは我に牙を剥いたも同じ。
手え出すな毛利。
俺の獲物だ。
おまえの獲物などこの地にはない。
瀬戸内に起こるすべての物事は、この毛利元就が一事。
やめろおおおおおお!!
ついに家康が叫んだ。
そうやって。
誰もが睦み合う相手を持つ。
儂にはなかった。
今川も、織田も武田も伊達ごときさえも儂と誼(よしみ)は結ばんと言う。
上下関係ただ上下関係あるのみ!
兵をいたわるだと!?畏怖させるだと!?
儂にはたれもおらぬのだぞ!!
一同押し黙った。
忠勝がいるだろう。
旧来の家臣、三河武士団も。
それとも。
持てるものは別腹なのか!?
毛利が最初に背を向けた。
つまらぬ。
捨て駒などいくらいても捨て駒にすぎぬと言うのに主(ぬし)はそれが寒々しいというのか。
長會我部も錨剣を引いた。
俺も興醒めた。
いま目の前にいる奴らがもの足りねえようなら、てめえは将の器じゃねえ。
伊達政宗に片倉某がいるのは、互いに命預け合ってるからだ。
忠勝の献身が感じ取れねえようなてめえなら、あんたの天下も知れたもんだ。
そしてこう続けた。
今回のことは忘れてやる。
だがこの先も自分の心の闇に本体乗っ取られるようなチンケなおまえなら、そのときは容赦しねえ。
邪心持ったことを必ず後悔させてやる。
覚えとけ!
そう言って、旧友は去った。
儂の孤独はより深い孤独を抱え込み、儂の心奥に存在し続けている。
多分、永遠に…
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