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納愛(のあ、又の名をハコブネ)の話
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あれもつけたいこれもつけたいと欲張ったら、船なのにカクカクした出来になっちまった。
納愛(のあ)って名付けたのに、野郎どもはハコブネって言いやがる。
何を運ぶんでえ!!
アニキー。
方舟って書くんすよ。
知るかそんなもん!
怒ってると、いきなり中空から光り輝くものが現れた。
人型してやがるが、姿形はまぶしくてよく見えねえ。
長會我部元親よ。
おまえは選ばれた。
何に?
この堕落した人類を滅ぼす。
おまえとおまえの仲間のみ生かすので、この方舟にすべての生き物のひとつがいを入れるのだ。
私は雨を九十日降らせ、今の人類を滅ぼす。
水が引いたら船を下ろし、新たなる営みを、ギャアッ!!
光の野郎が絶叫したのは、俺が錨剣ぶっ刺したからだ。
きっ、きさまっ、なぜ私をっ。
テメエの勝手で人類滅ぼされちゃかなわねえかんな。
私は神だぞ!
るせ。
俺は鬼だ。
背中向け、立ち去ると、背後でズグワアン!と“神”が爆発した。
やっぱり紛いもんか。
しかし雨。
降るのか?
空は一面雲に覆われ、今にも泣き出しそうだ。
自動装置になってんのか。
さあどうすんべえ。
と見上げると、輪刀持ったバカが、
はああああっ!
宙を舞って、分厚い雲を四散させたのは毛利だった。
はらはらと雲が“落ち”、隙間から陽光が降り注ぎ始めた。
日輪の力とくと知れい!
得意満面でやんの。
愛してるぜ毛利。
どわっ、うわっ、下らぬことを言うなーーーっ!!
怒るところがまた愛しいが。
これで二度と雨が降らなかったらどうする。
ふん。
それならそれで、皆で渇えればよい。
毛利ようー。
こいつは身も蓋もないが、言ってることはぜってえぶれねえ。
それもいいか。
抱き取った。
放せ!放せ人外!
吾は、吾は、うぐぐ
抱き取っちまえばこっちのもんだ。
日照りは全国で九十日以上続き、俺と毛利は二人して、雨発生装置を探しに行くはめになるのだが、それはまた別の話だ。
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