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《緩やかな決着》31
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「一度手にしたものだからね…惜しくて」
爽やかな笑顔のまま、アキラに伝える。
「そんな…」
困惑するアキラ…
「だから、提案。キミの将来への不安要素は私がなくそう」
「…え」
「キミが身体を患うようになったならば、キミが望むような医師と介護ヘルパーを私が雇う。女性が嫌であれば男性のヘルパーを、24時間待機させることができる。キミに負担は一切かけない…その代わり、このマンションに移り住んで私のものになることが条件…」
一度話を切り、アキラの様子をうかがうように見つめ…さらに続ける。
「…悪い話じゃないだろう?病院や施設ではそこまでの待遇はうけられない…私のところへ戻ってきてくれるなら…何年先、何十年先になろうとキミのことは最期まで責任を持つ。それが私にとっては人を買うと言うことだからね…」
紳士的な微笑みで、アキラを揺さぶりにかかるフミヒコ。
「……」
突然のことですぐには言葉がでない…
「そして、キミが気にしているユウ君についても…」
優しく話をはじめるフミヒコ。
「え?」
「この間会った時にユウ君のサクヤへの真っ直ぐな気持ちはよく分かった、けれどサクヤはその真っ直ぐさが恐いんだろう?」
そっと心の内側に問う。
「……」
フミヒコの言葉は的を得ていて…上手く答えられないアキラ。
「サクヤはユウ君へ負の感情は持っていない…どちらかといえば好きな方だね…だからこそ、自分の病のせいで犠牲にしてしまうかもしれないということを悩んでいるんだ」
フミヒコはアキラの答えを待つことはせず…
こころを見透かすように言う。
「……」
確かにその通りで…でも不信感もあり、言葉では答えられない…
「それもなんとかなるんだ…サクヤ、ユウ君の真っ直ぐな気持ちをそのまま他へ移し替える」
アキラの瞳を見つめ伝える。
「え?」
フミヒコの言っている意味が理解出来なくて、聞き返してしまう…
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