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《遠退く想い》16
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「…大丈夫、よくあることだから気にすんなよ、それよりタオルか何か拭く物貸して…」
やはり麻痺する腕のことは深く触れられたくなくて…何事もないよう流そうとするアキラ。
「まだ治ってないんだろ、アキラ休んでろよ…」
気になるルードはそう言い聞かすが…
「平気だって、ッ!」
首を振り頑固に言うアキラの右腕を再度掴んでみるルード。
痛みに顔をしかめるアキラ。
「ほら、痛いんだろ…」
そっと手を離して聞く。
「……」
返す言葉に詰まる…
「治るまで動いちゃ駄目!分かった?」
ルードはさらに優しく叱るようにアキラに言う。
「…ルード、ごめん」
何も言い返せなくて小さく謝る。
「謝るなって、腕冷やす?」
やっとしおらしくなったアキラを見て、やれやれ…と息をついて様子をうかがうルード。
「ううん…すぐ治るから…」
視線を下げて、首を振り、麻痺する腕を反対の手で覆い隠しながら言う。
「じゃ、ここ片付けるから、そっち座ってて!」
ルードは頷いて微笑み、アキラを休ませようと促す。
「ありがと…」
なんとか微笑み返して…テーブルの近くに座って俯きぎみに休むアキラ。
何とも言えない感情が支配する。
ルードに迷惑をかけてしまった…心配をかけてしまった。
もっと慎重になるべきだったのに…自分の身体を把握できていなかったから…
麻痺する腕の痛みも手伝って…自己嫌悪に苛まれるアキラ。
「アキラ…片付いたよ」
しばらくして、ルードがアキラの元に戻って来て、屈んで声をかける。
「ルード、アリガト…」
アキラは顔を上げて微笑みお礼をいう。
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