アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ペーター=ハーティソン.2
-
「今日はもうクラブ終わったの?試合、明日でしょう?」
ペーターの問いに、ランディウムは少し困った顔をして答える。
「それがさ、この暑さでみんなやられちゃって、何人か倒れちゃってさ。流石に今日はもう終わりだって。明日のために体調整えろってさ。」
ペーターはふと、空を見上げた。雲のない青がどこまでも広がっていて、お日様は容赦なく地面を照りつけていた。
ここは山奥の小さな病院。そしてその横にはだだっ広い空き地だけが広がっていて、あとは何もない。
ペーターはそこの病院の患者の一人だ。ベットが異様に多いくせに、手術室は一つ、診察室は二つ、医療器具は最低限よりちょっと揃えてある程度と、かなりこじんまりしている病院だ。けれど山奥というストレスの少ない環境と安さが評判で、急患は無いが療養を必要とする患者がほのかに集まってくる。それがこの病院なのだ。
そしてその横の空き地は、主によく地元のサッカーチームが練習場として利用している。ランディウムはそのクラブのメンバーの一人だ。だだっ広いだけでコーナーもゴールも簡単なものしかないお粗末なコートではあるが、山奥だから誰に迷惑をかけることもない。強いて言うなら隣の病院からうるさいと言われそうではあるが、長くそこに入院するおばさまがたはいつも何も言わずに微笑んで見守ってくれている。
「ランディは大丈夫?具合悪くない?」
「平気平気!だーいじょうぶだっての!」
「呑気すぎ!熱中症って怖いんだからね!こまめに水分補給しないと、死んじゃうことだってあるんだから!」
ペーターはランディの首をその白い手で包んだ。冷たい手にじんわりとランディウムの熱が伝わってきて、ほら熱い!と怒る。
「わ、ペーターの手。めっちゃ冷たくて気持ちい。」
「もう!保冷剤じゃないんだけど!」
ペーターは手を離し、ランディウムの開いたおでこをぺちんと叩いた。ランディウムは全然痛くなさそうに、イテッと笑った。
「練習試合明日なんだから、風邪ひいちゃダメでしょ。僕の応援はどうするのさ。」
「ん?ペーターって応援に来れるのか?お前こそ体調悪いだろうに。」
ランディの言葉にペーターはふと首をかしげる。確かに練習試合は明日のはずなんだけどな。何か変なこと言ったかな。ペーターはそう思って、
「どういうこと?この空き地でやるんじゃないの?ここから応援するつもりだったんだけど・・・」
ランディにこう言った。すると今度キョトンとしたのはランディの方で、
「バーカ。練習試合にこんなテキトーなコート使えるかよ。河川敷の方のちゃんとしたコートを使うんだ。」
意地悪を言うような声色でそう言った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 21