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苦戦
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なんでこのブランドは、原色が多いんだよ
蛍光イエローとか、誰が着るの?
こうなったら…
「兄貴、裏のミシン貸せ」
「お?おぉ…」
「鈴井君、ちょっと着いてきて」
手頃な服を数着奪うように取り、バックヤードへと入った
「あれ、高志君?どうしたの?」
「どうも、宮さん。ちょっとハサミとミシン貸してください」
「いいけど…?」
不審がりながらも、ハサミとミシンを借りて椅子に座った
「鈴井君、ちょっと横に立って」
持ってきた服を身体に当てて考える
「よしっ」
ハサミを取り躊躇することなく服を切った
「ちょ、何してんの?」
「いいから、そこに座って待ってて」
別な服もハサミを入れた
次は、切った服をミシンで縫い合わせていく
「へぇ、田上君て器用なんだね…」
横から覗き込まれていたのに気付かなかった
耳に息が掛かり、ビクッとなる
「うっ、うん…もう少しで出来るから」
不意打ちは、卑怯だぞ…
ヤバい
今のでちょっと愚息が反応した
「出来た。鈴井君、ちょっと脱いで」
「ここで?」
「俺以外居ないから」
渋々脱いでいく…
おぅふ
インナー着てるとか…
見られるかと期待してなのに、ちょっと裏切られた
「サイズはピッタリだけど、大丈夫かな?」
姿見の前でクルクルと回り出来上がった服を見ている
その間に兄貴がバックヤードに入ってきたらしく声を上げた
「さすが、高志!いいセンスしてるわ」
「いや、兄貴のセンスがおかしい」
「うん、お腹周りも気にならなくなってるし、いいね。うちで働かないか?」
「やだ。それより、鈴井君のサイズのチノパン出して」
「はいはい…人使いの荒い弟だこと…」
チノパンとついでに靴も持ってきた
さすが、俺の兄貴
欲しい物を言わないでも分かる所とかいいよね
「これも、着てねージャージは、ほら兄貴。店の袋に入れて」
脱いだ服を渡して着替え終わるのを待っていた
「どう?なんか、俺じゃないみたい…」
「似合う、似合う」
「そ、そうかな?」
「良い感じだよ。次は髪だね」
「あっ、お金」
「ん?良いって…俺が作り直してるし、ね?」
「お前、横暴過ぎる…原価とか…」
「なに?このデザインで売り出せば元取れるだろ?文句あるの?」
「いえ、ないっす…という事なので、その服は差し上げます…」
「よろしい。じゃあ、次は二階に行くよ」
ガックリと肩を落とす兄貴を置いて、ヒラヒラと手を振りながら店を出た
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