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縮まらない距離
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「みーさーきー」
後ろから思い切り抱きついた
「高志…痛いよ」
「ごめん…」
最近、こうして抱きついたりすると、やんわりと拒否られる…
たぶん、俺の触り過ぎが原因
まだ、告白の返事はもらってない
それでも、触れていたい
衝動が抑えられずに、所構わず触ってしまう
「田上、先生呼んでんぞ」
「あぁ、分かった。じゃあね、岬」
「うん」
職員室へ行くと、先生が大量のプリントを俺に手渡してきた
「俺、日直じゃないよ。先生」
「んー、そうだっけ?せっかくだから、持っていって」
はぁ…なんで俺なんだよ
今日の日直誰だよ
あっ、岬か…
岬には、重いものは持たせたくないから、仕方なく教室へと運ぶ事にした
「にしても、重いし…」
うず高く積まれたプリントのせいで、前がよく見えない
案の定、階段で躓きプリントが雨のように降り注いだ
「はぁ…ついてない」
「高志?どうしたの?」
「あっ、岬。何でもないよ」
ばら撒いたプリントをせっせと集めるが、量が多すぎて集めるのに一苦労
「俺も手伝うよ」
「そう?ありがとう」
最後のプリントを拾おうとして、岬と手が触れた
岬は、すかさず手を引っ込められる
そんなに触られるの嫌なのかな…
それは、俺だから?
「ごめん…」
「いや、大丈夫」
「拾ってくれてありがとう」
集めたプリントの束を抱えて階段を上った
「手伝おうか?」
「一人で運べるから大丈夫」
「でも…」
「いいって、トイレ行く途中だったんじゃないの?ほら、行かないと休み時間終わるよ」
「あっ、でも…本当に大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫」
「じゃあ、ちょっと行ってくるね」
岬は、何度か振り向きながらトイレへと向かったようだった
しばらく、触らない方がいいのかな…
告白なんてしなければ良かったのかな…
こんなに微妙な関係になるなら
「はぁ」
教室に近付いて時、同級生にぶつかってまたプリントをばら撒いた
「はぁ」
「田上?手伝うよ」
「ありがと」
同級生が次々と教室から出てきて、プリントを集めてくれて助かった
多少グチャグチャになったけど、教室まで辿り着き、先生の机の上にプリントを乗せて自分の席へに着いて、次の授業の用意をしていたら、岬がトイレから戻ってくるのが見えた
「鈴井、田上教室前でプリントばら撒いてさー」
「そうなの?やっぱり、手伝えば良かったね」
「いいって、本当。皆拾ってくれたりしたから」
「そっか…」
隣の席なのに、そこには高い壁があるような気がしてならなかった
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