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浴室で2
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湯船に座り、岬は俺に背中を預けるようにして寄りかかっていた
少し伸びた髪を指で掬い上げた
「相変わらず、柔らかい髪…ずっと触れたかった。こうして…ずっとずっと、岬が側に居ないことが辛くて仕方なかった…俺が弱かったから…」
「そんな事ないよ…俺だって、ずっと触りたかったし…辛かったよ」
「な?教えて?あれからどうしてたのか…」
首に手を回して引き寄せた
「俺も話すから…岬の5年間を教えて」
「うん…こっちに来て、おばあちゃんの家から学校に通った。おばあちゃん料理上手でさ。色々教えてらったんだ。煮物とか…高志の好きな物聞いてなかったから…いっぱい教わった」
「得意料理は?」
「オムレツ…」
「俺の好きな物…」
「後、ハンバーグ…ひじきの煮物」
「全部、俺の好きな物…」
「高校を卒業して、栄養学を学べる大学に行った。勉強する事いっぱいで…大変だったよ…でもね、ある日友達がかっこいい人が載ってるって雑誌を見せてくれた…そこに会いたい人が居たんだ…ずっと会いたくて仕方なかった人が居たんだ…」
「うん…」
「それ見たら、俺も頑張らなきゃって思った。高志がこんなに頑張ってるんだからって…大学を卒業して直ぐだったかな…おばあちゃんが亡くなったのは。親からは戻って来いって言われたけど、おばあちゃんから貰った家で料理教室開いたんだ。最初は、誰も来てくれなくてさ。正直辞めたいって何度も思った。その度に高志の出てる雑誌見て、また頑張った。今日、あそこに居たのは生徒さんに聞いたんだ…イベントで来るって…俺に気付かなくてもいいから、一目会いたいと思って…そしたら…」
「俺が見つけた?」
「うん…」
「もしかして、俺が気付かなかったら、1人で帰るつもりだったの?」
「分かんない…でも、気付いてくれるまで待ってた…かも」
「はぁ…気付いて良かったー」
濡れた髪を掻き分け、項にキスをした
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