アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夕食
-
何から手をつけようか…
迷うほどある料理の数々
「洋食にヒジキは…合わないな。旨いけど」
「そうなんだけどね…作ってあげたかったんだ」
「ありがとう、本当旨いよ。このオムレツも、ハンバーグも…旨いよ…」
やべぇ
涙が出る
バレないようにと、黙々と食べ進めた
それでも、涙は止まらない
「高志?」
「ん、旨すぎて涙出るわ…本当っ、何でこんなに旨いんだろうな…っ」
「高志…いっぱい食べてね」
「ん…食べるっ…本当、旨い…」
涙は止まらないし、鼻水出るし…
かっこ悪い…俺
「ほら、涙拭いて…」
ティッシュを数枚渡された
涙を拭い、鼻をかむ
「ありがとう。さ、食べるぞ」
どれもこれも美味しくて、箸が止まらない
「このオムレツ、フワフワ…俺が作ると卵焼きになる」
「ちゃんと、牛乳入れた?」
「牛乳?卵といてそのまま入れちゃダメなの?」
「牛乳か生クリーム入れると、ふわとろになるよ。あとは火加減かな」
「へー。今度やってみよ」
ハンバーグも、ナイフを入れると肉汁が溢れる
中からチーズがとろりと流れ出す
「おお、チーズ」
「ちょっと、入れてみた」
「すげー」
いちいち感動する俺
それを見て、柔らかい笑みを浮かべる岬
「このオニオンスープグラタンも…これ食べたら、他で食べれなくなるな」
「大袈裟だよ。俺より上手い人いっぱい居るよ」
「いや、岬が一番だろ。俺の舌には、これが一番」
「ありがとう」
全て腹の中に収めた
「流石に、食べ過ぎたかも…ちょっとしたら、筋トレする」
「うん、じゃあ少し横になってたら?」
「いや、片付けくらい手伝わせて?」
「ん、じゃあ、お願いしようかな」
食べた食器をシンクへと運ぶ
岬は手早く食器を洗い始めた
昔は、結構おっとりした感じだったのにな
テキパキ動く岬に、成長したのだと思う
食器を運び終え、洗い終わった皿を布巾で拭いていく
「な、今度本当に来いよ」
「ん?」
「俺の家…」
「あ、うん…高志の都合に合わせる」
「あぁ、俺も暇見つけてこっち来るから」
「ん…」
「毎日電話もする。メールも…」
「うん…」
「岬が寂しくないように、何でもするから」
「それって、高志が寂しくならないようじゃないの?」
「それも…ある。後で連絡先交換な!」
「そうだね」
こんな時でもない限り、本音は言えない
肩の触れるギリギリのラインで、顔を見ては言えなかった
岬が泣くのは分かっていたから
俺も泣くと分かっていたから
お前の涙に弱いんだ
このまま連れ去りたくなる
岬には岬の生活があり、俺には俺の生活がある
無理矢理にでも、連れ帰ることは可能だろう
でも、無理強いしてまではしたくない
そうしたいと思ってくれるまで待つ
5年待ったのだ
あと数年、いやあと何十年でも待つ
俺たちがヨボヨボの爺さんになってでもいい
その時でも、俺の気持ちは変わらないって分かるから
横から頭を引き寄せ、こめかみにキスをする
愛してるよ。と気持ちを込めて
それに応えるように、頬にキスされた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 626