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カフェデート
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軽くご飯でも食べようかと、ショップからそれ程遠くないカフェに来ていた
店内は混んでいたので、オープンスペースに席を取った
「ねぇ、スーツのお金払うよ」
「いいよ。俺からのプレゼント。それに、あそこの服は俺の給料から天引きされるシステムだから」
「そうなの?」
「そ、それに一応社員割引だし(笑)専属だからね…それより、なに食べる?」
「うーん…パフェって言ったら笑う?」
「いや、良いんじゃない?昔良く食べに行ったね」
「そう言えばそうだね」
「パフェって言っても、色々あるけど…」
「ワッフルも気になるなー」
「じゃあ、両方頼めばいいよ。ワッフルは半分すればいいだろ?」
「うん、じゃあワッフルにチョコパフェにしようかな。高志は?」
「俺は…ワッフルあるならアイスコーヒーかな」
店員に注文を頼んだ
そう言えば…
ショップの袋から綺麗にラッピングされた箱を取り出した
「これ…」
「なに?」
「開けてみて」
ラッピングを破らないようにと、慎重にテープを剥がしていた
俺なら、包装紙ごと引きちぎる(笑)
宝箱でも開けるみたいに目を輝かせているのを見ると、こっちまで嬉しくなる
「うわぁ、綺麗」
岬はネックレスを手に取り、太陽に掲げるようにして眺めている
写真に収めたいな
そう思い、スマホのシャッターを押した
うん、綺麗に撮れている
「どうしたの?これ」
「うん…記念?」
「記念…嬉しい。あれ、高志のは?」
「俺のはほら…」
シャツの間からネックレスを少し引っ張り出して見せた
「お揃い…そうだ。指輪こっちにしておこう」
別なネックレスに提げていた指輪を外し、左手の薬指にはめ直した
「ほら、これもお揃い」
「うん…」
手を伸ばそうとした時、声を掛けられた
「あの…ko_siさんですよね?」
「え?」
振り返ると、同い年位の女性が立っていた
「あの…」
「あ、そうですけど…」
「わぁ、やっぱりぃー握手してくれませんか?」
「ごめん、プライベートなんだよね…仕事中なら受けるけど、プライベートでは断ってるんだ。本当にごめんね」
「そうなんですか…そちらの方もモデルさんなんですか?」
「え?いや」
俺は、その子の視線から岬を隠すように立ち上がった
「一般人だから…それに、お店に迷惑かかるからね?」
「え?指輪…」
「いや、だから…」
「結婚しるんですか⁉︎」
「あのね…」
「嘘っ!」
「いや、だから…聞いてよ」
「じゃあ、恋人なんですか?その指輪」
「指輪は関係ないでしょ?お店に迷惑かかるから、その位にしてくれる?」
「教えてください!」
「本当にごめん。これ以上騒ぐと警察呼ぶことになるよ?」
「言えないんですか?ファンだったのに…」
ダメだ…人の話聞いてないし
岬の方をチラッと見ると、俯いたまま肩を震わせていた
「君、いい加減にしてくれないか?周りも騒ぎ出してきたし…」
「私には言えないんですか?」
「君だからとか関係ないからね?」
「好きなのに…」
「それ言われてもね…俺、大切な人居るし…その人以外考えられないし。将来は結婚するからっ!もうその人しか見えないんだよね。君の好きは、ファンとしてならありがたく気持ちはもらうよ。でも、恋愛とかそういうのなら困るだけだから…悲しませたくないから、愛してる人の事…」
「そうですか…ごめんなさい」
「いや、俺の方こそ…次仕事中なら、握手でもサインでも言って!絶対するから」
「はい。お騒がせしてごめんなさい」
「いや、いいよ…それじゃあ」
女性が去っていくのを見送ってから席に着いた
程なくして注文した物が運ばれてきて、その時にさっきの騒ぎのお詫びを言った
「本当にすみません」
「いいえ、ここ結構有名人とか来るんで慣れてますから。では、ごゆっくりどうぞ」
相変わらず岬は俯いたまま
「岬…ごめんな?」
「ううん…」
「顔あげて?」
俺は、隣の席に座りなおし、岬の手を握った
「嫌な思いさせたよな?ごめん」
「そうじゃなくて…」
「ん?」
「その、嬉しくて…言ってくれて…」
「そうなの?悲しくさせたとかじゃないの?」
「違うから…嬉しかったの」
「そっか。安心した…ほら、食べよ?パフェのアイス溶けちゃうよ」
「うん」
岬の向かえに移動して、パフェを食べる岬をチラリと見た
泣いていたのか、目元にはキラリと光る雫
でも、悲しい涙ではないようなので一安心
「ほら、口に付いてる」
指でクリームを掬い口へと運んだ
「ここ、外だから…」
「イイじゃん」
「良くない…」
「もう、恥ずかしがり屋さんだね。俺の奥さんは」
「……っ、そう言うのもっ」
「はいはい。じゃあ、家ではそう呼ばせてね?」
「う、うん…」
スプーンを口に咥えたまま頷いた
その仕草が可愛くて、思わず抱きしめそうになった
テーブルが無かったら、確実にしていたな…
いかんいかん
そんな事したら、きっと激怒する
食べ終えカフェを後にして、駐車場に停めていた車へと戻った
「次は…どこ行きたい?」
「高校…行ってみたい」
「イイよ。じゃあ、シートベルトしてね」
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