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朝
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嫌だ嫌だと思っても、次の日はやってくる。うざいぐらいの朝日がカーテンの隙間から差し込んだ。
学校の準備のため部屋を出ると、バッタリと隣の部屋から出てきた奴と鉢合わせした。
朝から最悪のタイミングだ。
「おはよ。調子はどうだ?」
「……最っ悪」
「それはそれは、ご愁傷様」
僕の朝一がコイツの嫌味と薄笑いだなんて、ついてない。
極力顔を見ないようにして、準備を整えた。
奴より早く家を出る直前、テレビから流れる占い。
『残念。最下位は天秤座のあなた』
あまり占いは信じないけど…本当についてないや。
外に出で階段を降りている最中に、発見した3つの影。寮の前で立ち止まり雑談でもしているのだろうか。
別にクラスの奴らとかだったら、気にも止めない。けれど、そのうち1人が勇くんとあれば話は別だ。
やばい!朝から勇くんに会えるなんて!
僕は焦って勇くんのいる所まで走った。
「勇くん!おはよ!」
「おはよ」
「お、おはよぅ!」
「はよ。やっと来たか」
勇くんしか見えていなかった僕は、次々と返ってきた声と向けられた顔に上がっていたテンションは一気に下がった。
勇くんの隣を陣取っている柚瑠と、裏切り者の敦がいたのだから。
一瞬睨みそうになったけど、勇くんがいる前でそんな野蛮な事しません。可愛らしい笑顔を2人にも向けておいた。
「勇くん達はどうしてここにいたの?」
僕が合流して歩き出した勇くんに気になっていたことを尋ねると思ってもない回答が飛んできた。
「泪を待ってたんだよ」
「ぇっ…ぼ、僕のこと?」
「心配だったから」
はぅぅぅ!!
ズキューンと僕の胸を撃ち抜いたその一言。顔に熱が集まるのが分かる。
いや、だって、油断してたっ!勇くんんんん!もぅ、朝から僕の事どうするつもり!?
「体育で倒れて、次の日学校休んだしさ。でも、元気になってよかったよ」
「し、心配してくれて…ありがとぅ」
僕の目を見て微笑む勇くんが眩しくて、かっこよくてそれ以上言葉が出てこなかった。
「あ!泪」
「っ?どうしたの?」
見惚れていた僕は勇くんに名前を呼ばれてはっとした。
今度はなんだろう、そう期待した僕は次の瞬間ドン底へ突き落とされた。
「遥海先輩と付き合ってるのか?」
「付き合ってないよっっ!勘違いだよ、そんなの!」
脊髄反射の如くスピードで、食いついた僕に勇くんは少し目を丸くして驚く。
こればかりは、可愛さよりも何よりも否定したかった。勇くんにだけは勘違いされたくなかったんだ。
僕の好きな人はずっと勇くん一択で、それはきっとこれからもそうであって、そんな勇くんに僕があんなクソモデルと付き合ってるなんていう嘘1秒だって信じて欲しくなかった。
「そうなのか?なーんだ、ガセかぁ」
僕とアイツが付き合ってるかどうか確かめたのは…少しは僕の事気になってるから?興味があるから?付き合ってないって聞いて安心した?
ちょっとぐらい期待してもいいのかな…?
学校に到着し、靴箱で靴を履き替える。
その時丁度隣にいた敦。
(おい、敦)
(な、なな何でしょうか?)
(アイツに手玉に取られてんじゃねぇよ)
(ご、ごめん…)
悪い事をしたと自覚があるのか、申し訳なさそうに萎れている。が、許さん。
(次、妙な事したら柚瑠に変な事吹き込むから)
(それだけはご勘弁を!!)
必死に謝るその様に呆れる。そんな焦るなら最初から変なことしなければよかったのに。ホント馬鹿。眼鏡してるくせに。
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