アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
目覚め─遥海side
-
──遥海side
泪が熱を出した。原因は俺。
朝、いつもと違う感覚に目が覚めると腕の中にいた泪が明らかに熱く、苦し気に呼吸を乱しており震えていた。
「泪っ!?」
寝起きの眠気など一気に吹き飛び泪の額に手を当てると異常に熱く、慌てて服を引っ張り出して着せてしっかりと布団をかけた。
自分も服を着て、苦しそうな泪を見つめながら本気で昨日のことを後悔して、できることなら昨日の自分を殴りに行きたい。
抱いた後裸のまま寝るんじゃなかった...。
もしかしたら、昨日はもともと泪の体調がすぐれていなかったのかもしれない。それなのに無理矢理抱いて、風邪を引かせたんだ。
くそ…俺の馬鹿。
俺はその後甲斐甲斐しく泪の看病に徹した。
泪は熱にやられて苦しそうにしつつも、俺がそばにいることに少しだけ嬉しそうにしていた。
もちろん、泪も風邪を引いたのは俺のせいだと思っていて睨まれたりしたけど、学校を休んで看病するって言ったら、ツンとして寝てしまった。
俺のせいで風邪を引かせたのに、もう少し甘い言葉をかけてやればよかったな…。
素直になれないのは俺も同じだ。
泪が眠ってから、部屋の掃除や洗濯などを先に済ませ、時折熱を測り汗を拭いてやる。
正午辺りを過ぎ、部屋の机に向かい教科書や参考書を広げて勉強に取り組む。
なんだかんだ言っても今年は受験がある。
振り返ればすぐ泪が寝ている距離なら安心して取り組める。何かあればすぐ駆けつけられるし、気がつける。
朝より大分顔色が良くなった泪の寝顔をもう1度確認して、机に向かった。
─────────
────
──
「ん………」
小さく身じろぐと、パサりと何かが肩から落ち、キィっと椅子が音を立てる。
あ…れ……?
まだハッキリしない意識のまま、頭を持ち上げると視界に広がる机と教科書達と床に落ちた毛布。
俺……勉強してた…はずなんだけど。
部屋は真っ暗で、俺の手にはシャープペンシルが握られおり、自分の腕を枕に多分寝てしまったんだ。
目の前に、やりかけの現代文の問題があった。つまらない評論を読んでいたら眠気に襲われて、少し休憩するつもりが結構な時間寝てしまっていたようだ。
まずった………っ!泪はっ!?
泪のことを思い出し慌てて振り返り目を凝らすが、そこには空のベットしかなく、俺の部屋に泪の姿が見当たらない。
どこだ!?
足がもつれて転びそうになりながら、部屋の電気を付けてもう1度確認したがやはり姿が見られず、リビングへの扉をバンっと力任せに開け放つ。
「っ……遥海?」
「はぁ……よかった…」
音にビックリして弾かれたように俺の方を向いた泪は丁度カーテンを閉めるところだったのか、窓の外を見ていたようだ。
「倒れてたらどうしようかと思った…」
「全然平気。大分身体も軽くなって寒気もよくなったし。大袈裟なんだよ」
泪は少し頬を赤らめて、プイとまた窓に視線を向けてカーテンを閉めた。
そんな泪が可愛くて俺は両手を伸ばし、そっと背中から抱き締めると、泪はビクっと肩を跳ねさせたが抵抗はしてこなかった。
「ごめん」
「??何が?」
「風邪引かせたことと、寝ちゃってたこと」
「…まぁ、許してあげる」
泪は首を捻って俺の顔を見てから、身体を反転させて向かい合わせの形にしてきた。
そしてじっと吸い込まれそうな、吸い込まれたい綺麗な瞳で俺を捉えて離さない。
「お前、疲れてるんだろ?寝てていいよ」
「疲れてない。それに結構寝たから」
多分2時間ぐらいは寝てしまったと思う。起きたら6時って寝すぎだよな。
「毛布かけてくれただろ?」
「……なんとなく」
瞳が逸らされたが顎の下に手を当てて上を向かせ、泪が驚いているスキに軽いキスを贈った。
ぶわっとタコのように赤くなり、逃げようとする泪を逃がさないと腕に力を込めて首筋に顔を埋めた。
「やめろ…バカ!」
照れ隠しの罵倒は褒め言葉にしか聞こえなくて、クッと喉の奥で笑ってしまう。
本当に可愛い。こんな可愛い生き物が他に存在するのか?いや、いない。
泪だけだ。
こんなに夢中になるのは泪だけ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 123