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ツンツン─遥海side
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「誰だった?」
「...ただの後輩」
「ふーん。それは?」
テレビから目を離した泪はリビングに戻ってきた俺の袋に目を向けた。
「もらった」
「そうなんだ。...てか、怒ってる?」
泪に聞かれて、自分はそこまで態度と口調に出ていたのかと苦笑いが浮かぶ。
「まぁ色々あったんだよ」
「色々ってなに?」
お前に好意がある奴が来て機嫌が悪いなんてかっこ悪くて口が裂けても言えない。
適当に誤魔化そうとして言った『色々』だったが、泪は何故かムッとして冷たい視線を投げてきた。
「色々は色々だ」
「だから、色々って?言えないことでもあったわけ?」
「違うけど、言いたくないだけ」
益々御機嫌斜めになった泪は立ち上がると、俺の手から袋を奪い取り中身を取り出す。
そこにはただのみかんゼリーがある…そう思っていたが、ゼリーと一緒にメモがハラリと宙を舞う。
やばい!と思い手を伸ばしたが、一足遅かった。
「は?」
そのメモの内容をみた瞬間眉間に深いシワが入り、冷たい視線は鋭さが加わった。
「最低!くそ遥海!!」
「ちょ、泪?」
「番号とか貰って僕に秘密にして、は?最低以外の何者でもないだろ!」
「違う!誤解だから!!」
まさかアイツ自分の携帯番号を滑り込ませていたのかよ!ふざけんな!!
「誤解?証拠がここにあるんですけど?」
「だから、番号入ってたなんて知らなかったんだって」
「ふーん、あっそ。連絡してやる」
「連絡なんてすんな」
本気で電話をかけようとした泪から、メモを奪い返してクシャッと握りつぶした。
これは俺宛じゃなくてお前宛てなんだから…。
クシャクシャになったメモをさらに破いてゴミ箱に突っ込んでから泪に向き直る。
「......。」
「これで疑いは晴れた?」
まだ睨みを利かせている泪に手を伸ばしたがパシっと弾かれ、泪はみかんゼリーを持ったままキッチンに駆け込みすごいスピードでスプーンを取り出すと、三秒とかからずにゼリーを完食してしまった。
食べたというより、飲んだに近い。
風邪を引いている人間の技とは思えないスピードに呆気に取られている間に、泪は俺の目の前に舞い戻りごみを突きつけた。
「ごちそうさま!」
「お前...」
若干咽て涙目の泪。アイツのゼリーは泪に食べられてしまったが、アイツの思惑とは別の意味を持った。
「るーい」
「あ?」
さっきまでの不機嫌とは打って変わって俺の気分は急激に浮上した。
ニンマリと上がる口角を隠さず名前を呼べば、泪は嫌そうに顔を顰める。
「何笑ってんだよ…」
「んー、嬉しくて」
「っ!来んな!」
「むりー」
じわじわ接近する俺とそれと同じく後ろに後退する泪。
隙を見て自分の部屋に逃げ込もうとでも考えてあるんだろうけど、残念賞。
「げ…」
「はい、捕まえた」
俺が逃がすわけないだろ?
コツンと背中が壁にぶつかり一瞬意識が俺から離れた所で一気に距離を詰め、両腕を泪の顔の横に付け閉じ込めた。
この状況下で泪は焦った顔をしつつも、どこかで別のことも考えているのが丸分かり。
なんやかんやで、こういうの好きだろ?
壁ドンとか、顎クイとか。
その証拠に本気でこの腕から逃げようとしてないんだから。
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