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会議
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「で、」
部屋に帰った僕と遥海はソファーに隣り合わせで腰をかけていた。
そして、少しイラついた口調で遥海が口を開き、足を組んだ。
「何でお前らまで付いてきてんだ?」
そう、僕の目の前には幸太先輩と達也先輩さらに咲が座って僕らの方を見ていた。
まぁあの流れ的に付いてくるのは目に見えていたけどね…。
「ご、ごめん」
気が弱い達也先輩は大きい図体をしている癖に、しゅんと頭を垂れた。
まるで飼い主に叱られている犬のようだ。
「気になったから付いてきちゃいました!!」
咲は、あはははーとアホっぽく能天気に笑っている。
遥海に対して物怖じしない姿勢は賞賛ものだ。
「いやぁーだってねぇ、泪くんが心配だったから」
幸太先輩は、言ってる事が嘘だと1発で分かるほど楽しそうにしている。
野次馬精神満載だ。
そんな3人に対して遥海は眉間を抑え盛大なため息を一つ付き、追い返すことを諦めたらしい。
その証拠に遥海は3人を無視して僕の方に体を向けてきた。
「まぁいい…それより泪、さっきの事について説明しろ」
「なっ………説明って言われても…見たまんまだ…よ?」
一応猫被りは続行する形で僕は遥海を伺った。
「ソイツのことじゃなくて、天野柚瑠と何かあったんだろ?」
遥海の鋭い指摘を受け、僕は大袈裟にビクッと反応してしまった。
あ、と思った時には既に遅くその場にいた全員が何かあったんだと察してしまう。
でも、クソ勇の事で言い合いになったなんた口が裂けても言いたくないし、柚瑠に対しての僕の性格の悪さを暴露したくなかった。
押し黙る僕に痺れを切らしたのはやっぱり遥海。
「何で言いたくないんだ?」
「…言いたくないものは言いたくない」
「じゃあどうして、いつ喧嘩した?」
「……遥海と付き合う前…アイツ(勇)の事で…言い合いした」
ほら見ろ。自分から聞いてきたくせに、遥海の機嫌は一気に悪くなり眉間にシワを寄せている。
喧嘩をしていたのを黙っていたことに怒っているんじゃない。その原因がアイツであることに怒りを覚えてるんだ。
遥海の方を見るのが怖くて途中から目をそらした。絶対睨まれてると思う。
それでも、手を出したりこれ以上喧嘩について触れてこなかったのは目の前には咲達がいたお陰かもしれない。
「ふーん。じゃあ俺からも質問していい?」
「…どうぞ」
「勇くんと何があったの?」
やはり、と言ったところだ。
僕と遥海以外昨日のことは知らない。
でも、僕達がアイツを毛嫌いしていることは伝わってしまっているようだった。
咲もとても真剣な顔付きで僕を見つめてくる。
話そう。多分、信用できるから。
だから僕は昨日あったことを大まかに伝えた。
とにかくアイツは最低最悪のクズ野郎だっていうことを強調して、でも押し倒されたことは黙っておいたけどね。
一通り話し終えて、達也先輩と幸太先輩は苦い顔をして
「うわぁ…何そいつありえないわぁ」
「怖い人だね…」
奴(勇)を非難する声を上げた。
でも咲は大きな瞳で瞬きを繰り返し、呆気に取られ少し呆然としていた。
咲もアイツの本性は知らなかっただろうし、クラスメイトで関係もあった。それだけショックは大きかったに違いない。
もしかしたら僕の話を信じてくれていないかもしれない。
でも、本当のことなんだもん…。
咲の反応にギュッと膝の上の拳を握りしめた時、突如咲がソファーから立ち上がり僕の真横に移動してきた。
え、何!?もしかして…怒った──?
「さ、咲…あのっ──」
「泪!!!ごめんね!!!!」
「はがっ!?」
これもまた突如、咲は僕にガバッと抱き着きギューギューと抱き締めてきた。
そして、この謝罪である。
何が何だかさっぱり分かりませんっ!
とりあえず窒息死しそうだったので、腕の力を緩めてもらい何故謝ったのか訊ねてみた。
咲は眉を八の字にして
「昨日…僕が勇と泪を二人っきりしちゃったから酷いことがあったんだよね……ごめんね」
そう言って今度は優しく抱き着いてきた。
今度は僕が目をまんまるくする番だった。
そして、咲があまりにも真剣に謝り後悔している姿に思わず吹き出してしまう。
「ぷふふ!咲のせいじゃないっての!僕は全然平気だし、寧ろ本性が知れて良かったと思ってるぐらいだし!それに、断れなかった僕と一緒に付いてきてくれたじゃん。ありがと」
咲の背中に手を回してポンポンと2回叩いてやると、咲は僕の顔を見つめて
「泪ーー!!」
って感極まった感じに半泣きになっちゃった。
もーなんでこんなに素直でいい子なんだろう?
最初はただのアホくんだと思ってたのになぁ。
咲の半泣きの顔を見て益々笑いがこみ上げてくる僕は、やっぱり少し性格が歪んでるかもしれない…なーんて。
「いつまだそうしてるつもりだ?」
「あわー!抱きついちゃってた!」
咲はその指摘に慌てて体を離すと元いた場所にすっと戻っていった。
僕達の友情の感動のシーンに釘をさしてきた人物は僕の隣に座っている奴だ。
実はさっきから気がついていけど、ビシバシ飛んでくる眼光を見ないようにしていたら、いつに口を挟んできた。
「ばーーか」
仰ぎ見て余裕なさげな遥海に向かってにこやかに告げたのは言うまでもない。
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