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「あなた…真白零、だったかしら。昨日屋上でいざこざ起こしたって本当?」
朝教室に着くなり、突然女の子が僕の机を怒った様子で叩いた。
なに、だれ…?
どうして怒ってるの…?
怖がって震えているまりもをそっと手で包む。
「…だれ…?」
ようやく一言だけ言葉を紡ぐことができた。
「私、姫川桜子。このクラスの室長よ」
目の下に猫と書かれた、セミロングの女の子がそう言った。
桜子は、またすぐに眉間にシワを寄せると腕組みをして僕を見下ろした。
「そんなことはどうでもいいの!転校して一週間で揉め事だなんて、信じらんない!一体どういう頭の構造をしてる訳?」
僕が起こしたいざこざじゃない…
そう思ったが、すごい剣幕で怒る桜子にいちいち口を挟む訳にはいかない。
「だいたい、クラスで何かあると誰が責任とってると思ってるの!?室長の私よ!分かってるの!?」
「ごめん…」
「謝って済む問題じゃないわ!」
じゃぁどうしろっていうんだよ…
「おはよー、真白!姫川、どした?」
煌がいいタイミングで教室に来てくれた。
僕は縋るように煌をみると、すぐに俯いた。
「どうもこうもないわよ!真白君が昨日屋上でいざこざ起こしてくれたおかけで私が責任を問われてるの!聞くところによると、能力使ったみたいじゃない!一体何を考えてるのかしら、信じられないわ!どうしてくれるの!?」
マシンガンのように僕にまくしたてる桜子。
僕は何も言わずに指の上で怯えるまりもをなでていた。
「ちょっとまてよ」
煌が口を挟んだ。
「何よ?」
「あのいざこざ、俺らが起こしたんじゃないぜ?」
「はぁ?」
「だから、別のクラスの蛇連中たちが襲ってきたんだって。俺らからは何も手は出してねぇよ。俺が脅したら逃げてったし。被害は俺が噛まれたってことくらいだ」
「え…、でも、先生は真白くんが蛇の子達を襲ったって…」
「あいつらが嘘でもついたんだろう、悔しくて。それに、真白は…俺の命を助けてくれたんだぜ?」
そう言うと、煌はくしゃっと僕の頭を撫でた。
「災難だったな、真白!こいつも悪気があった訳じゃないんだ、許してやってな?」
「…分かってる…」
僕が頷くと、煌は満足そうに席についた。
「あ…えと…ごめんなさい、真白くん」
ふるふる、と首を振り、気にしてないよと微笑んだら、桜子は何やら赤くなってそそくさと自分の席へ戻って行った。
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