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「真白、座ってもっとちゃんとお前の素顔見せてよ」
「でも…」
「いいから」
煌に言われるがままに座り、そっと手を外した。
「すげぇー!色、って、どんな能力あるんだ?」
「色々だよ…。白なら治癒、黄色なら雷を操る、青でバリア…」
「そっかぁ、これで俺を直してくれたんだな!すごいいい能力じゃん!」
笑顔でそう言われ、僕は…何だか我慢できなくなってしまった。
「…っ…ひっく…」
ぼろぼろと堰を切ったように涙が溢れ出してくる。
「え、おい…真白?」
「何でもない…何でも、ない…」
「何でもあるだろ…どうした?」
そっと抱きしめられて、頭を撫でられた。
「僕…昔は…妖っていう字一文字だけが…目の上にあって…でも…両親にこれのせいで捨てられて…2つに分離して…」
今まで誰も受け入れてくれなかった、その事実を煌に伝えたかった。
泣きながらではうまく喋れなくて、でも、煌はわかってくれたようで…
「大丈夫だよ、真白。俺はお前から離れてったりしない。だから泣くな…」
なでなでと、優しく頭を撫でる手が懐かしくて、僕はそっと煌に抱きついた。
「じゃぁ、よく独り言言ってたのも能力か?」
ようやく落ち着いた僕に、煌はお茶をいれながらそう聞いた。
こく、と頷くと、
「その腕の字の能力か?」
と聞かれた。
「うん…この字の能力は、妖怪と霊の使役と召喚…。でも、普段から僕にはみんな見えてるから…」
「よく言ってる、まりもっていうのは?」
「この子…」
僕の服の中で煌に怯えているまりもを取り出す。
がたがたと震えるまりもに、
「大丈夫、良い人だよ」
と言ったが、指の間からちらっと見てすぐに隠れてしまった。
「ダメだ、見えない…」
「…見る?」
「え…、出来んのか?」
「まぁ…」
そっと煌の腕を掴んで、自分の能力を流し込んだ。
「…汝らの姿、この者に見せよ…」
それからそっと手を離す。
僕が能力を流し込んでいる間は煌にもまりもたちが見える。
「まりも…大丈夫だから挨拶して」
「やだぁ…れい以外の人間は嫌い…」
「あとでクッキーあげるから」
それにつられて、まりもはよじよじと僕の手の上に這い出てきた。
「ほら、挨拶は?」
「…ま、まりもです…」
「ちっちゃ!可愛いなぁ、こいつ」
煌がまりもをわさわさと撫でると、まりもはじょじょにその指に擦り寄るようになった。
「れい、この人、いい人!」
「うん、知ってるよ。煌っていうんだよ」
「こう!」
ぴょんぴょんと飛んで煌にじゃれつくまりもを、まりもが人に懐くなんてはじめてだなと見つめた。
「まりもはこう見えてもかなり高等な妖怪なんだよ」
そう教えると、煌は
「ちびっちゃくてそんな風には見えないなぁw」
と笑ったのでまりもに指をかじられた。
「いたたたたっ」
「ちっちゃくて悪かったね!」
ぷりぷりと怒るまりもをそっと撫でると、まりもは機嫌を直してくれた。
「それで、姫川さんからの伝言て…?」
「あぁ、この学校、来月体育祭があるんだけどさ、種目はどうするかって」
「体育祭…?」
「あぁ、能力使うのありの、何でも体育祭なんだけどさ」
「僕は…目立たないやつがいいかな…」
「れい!れい!クッキーは?」
「はいはい」
缶からチョコクッキーを出してあげると、まりもは嬉しそうにそれをかじった。
「れい、こう、いい人だったから大丈夫だった!」
「よかったね」
「?どう見分けてるんだ?」
「まりもは、触れた人の本質が分かるんだ。もちろん僕のも」
なでなでと撫でられたまりもはぴょんぴょん飛んで、クッキーをぼろぼろ零した。
「あ、こら!こぼすなって」
慌ててそのカスを捨てる。
「仲いいんだなw」
煌が笑って言った。
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