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「ここだな、理事長室!」
元気にそう言うと、煌は僕を地面におろした。
…結局一緒にきてしまった…
どうしよう…
「煌…あの、危ないから…部屋に戻った方が」
「大丈夫!俺だって狼の端くれだしさ!」
「いや、そういう問題じゃ…」
はぁ、とため息をつくとこうを帰らせるのを諦めた。
「…川奈」
呼ぶと、ぴょこんと小さなカッパが顔を出した。
「よんだぁー?」
「煌の守護を頼む」
「え、このちっちゃいのに助けてもらわなくても俺は「怪我をさせたくない」
くいぎみにそれだけ言うと、理事長室の扉に手をかけた。
「失礼します」
さも普通の生徒かのように理事長室へ入った。
僕からは理事長の顔が見え、男の後ろ姿が見えた。
「理事長、お話が」
「今は接客中です、あとでまた…」
「へぇ…いい顔してんじゃん。男でも十分稼げそうだな、お前」
そう言って男が近づいて来た。
「…どなたでしょうか」
「俺を知らないとはマグレだなぁ僕ちゃん。俺は真那津、鮫の一派を取り仕切るリーダーだ」
「へぇ…」
「そうだ、悪魔の印を持ってる奴知らないか?探しに来たんだけど」
「さぁ…知りませんね」
「そうか…じゃぁまずはお前から…!」
言い終わる前に飛びかかってきた男を避ける。
鮫の能力だろう、右腕から鮫のヒレのような刀が生えている。
「今のが避けれるのか…ふむ、少しバカにし過ぎていたようだ」
ちゃき、と再び構えると、男はにたぁ、と笑った。
「…はぁ…いいでしょう。真那津さん、僕が勝ったらここにはもう来ないで頂けますか?」
「自分が勝てるとでも思ってるのか?!wwなよっちい女みたいな兄ちゃんがよぉ!」
ぎゃはは、と汚い笑いを振りまいたあと、もう一度構えの体制をとった。
「いいぜ、万が一にも勝てたらなぁ」
しゅばっと、さっきとは比べ物にならない速度で僕に襲いかかってきた。
「…防壁」
青の能力によって、男は僕まで到達することすらできなかった。
「な、何だこりゃぁ…!?」
「封…縛…」
そのまま青の能力で男を見えない縄で縛り上げ、空中へうかびあげる。
思った以上に弱い…。
「…燃」
ぱちんっと指を鳴らすと、赤の能力、炎が指先についた。
それを男の顔に近付ける。
「さぁ…どうしますか…?」
「お前…っ本当に人間か…!?こんなことができる能力なんて聞いたことが…!」
「僕は今ここで燃えて死にたいかここから去るかと聞いている…」
じゅぅっと炎で男の前髪を焦がす。
「わ、わかった…!ここから去ろう…だからそれを早く離してくれ…!」
「…解」
僕の一言で見えない呪縛から解き放たれた男は、よたよたしながら部屋から出て行った。
「…やりすぎだ、零。どうしていきなり客人が敵だとわかった?」
「…偵察に来させたので」
それだけ言うと、僕は鞄を背負い直した。
「…申し訳ないですが、僕はもうここを引き払おうと思います。僕のせいでまた迷惑が掛かってしまった…」
「何を…。行き場はあるのか?」
「いえ…でも、僕みたいな奴、死んでも誰が困るんですか?」
「零」
「…っ?」
今、僕の名前…
「零が居なくなったら俺が困るんだよ」
「…どうして煌が?まだ付き合いも浅いのに…」
「確かにまだ付き合い浅いけど、そんなのこれから一緒にいれば良いじゃん。もっと、零のこと知りたいんだ」
「…また変な奴に襲われるかもしれない…僕のせいで」
「大丈夫、俺が守ってやるから」
ぎゅ、と抱き寄せられた。
「…さっきの見てたでしょ…。僕は守られる必要なんて…」
「外傷はなくても、お前の心はもう傷だらけだろ…。俺が、お前の心も体も守ってやるから、お前は俺に頼っていいんだよ」
「たよ、る…?」
「そう。零は1人で頑張り過ぎなんだよ」
「…煌…でも、僕は…皆にない能力を持ってる…。皆の恐怖の対象なんだよ…?」
「考えすぎ」
ぱちんっ
「いたっ」
思い切りでこぴんをされた。
「お前はお前だろ。どこが怖いって?でこぴんで涙目になる奴のどこが恐怖の対象?w」
「涙なんて出てな…」
「零、部屋に戻ろう」
わしゃわしゃと頭を撫でられ、屈託のない純粋な笑顔で言われ、僕は思わず頷いてしまった。
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