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「あ…」
「聞いてた…?」
煌にそう言われ、僕は仕方なく頷いた。
「…どこから?」
「最初、から…」
煌の目に怒りの色があるのを見て、僕は慌てて謝る。
「ご、ごめん…聞くつもりはなくて…」
けれど、煌はそんな僕の言い訳を聞きもせずに踵を返して夜砥の元へ戻っていく。
と、へたり込んでいた夜砥を再びつかみ上げる。
「謝れ…」
「は…?」
そう聞き返し顔をあげた夜砥は顔を強張らせた。
でも僕から煌の表情を見て取ることはできない。
「零に、謝れよ…!」
怒りを抑えているように震えた低い声で煌はそう言った。
「はっ…何で俺が底辺の人間に頭を下げなくちゃいけないのさ」
強張った顔のまま、夜砥がそう言うと、煌はより手に力をこめ、夜砥の制服がブチブチと音を立て始めた。
ひっ…とわずかに息を飲むのが聞こえ、僕は煌に後ろから抱きついた。
「いいの、煌。僕は大丈夫だから…やめてあげて」
煌の背中に額を付けて言うと、煌は黙って夜砥から手を離した。
ずるずると夜砥が座り込む。
「零…」
眉間からシワがなくなり、放心したようにぼうっと僕の顔を見つめる煌の手を握る。
「僕の部屋にいこ…煌」
「…はい」
煌が…友達ができたから買った、ペアのマグカップにコーヒーを淹れて煌の前に置く。
煌は相変わらず黙ったまま、コーヒーに口を付けた。
「…零」
「なぁに…?」
「ごめんな…」
「どうして煌が謝るの」
「俺が…怒らなきゃ、敵視されずに、伝説の悪魔の印を敵に回さなくてもよかったかもしれないのに…」
煌は手が白くなるほど強く自分の服を握っていた。
僕はしゃがみ、煌と視線を合わせる。
すると煌は泣きそうな顔をしていた。
ぎゅっと正面から煌を抱きしめる。
「零…?」
「嬉しかった…ありがとう」
「…でも、零…」
「大丈夫、夜砥くんはただの鷹だから…。悪魔の印なんかじゃ、ない…」
「え…」
煌は目を見開き、僕を見つめる。
「大丈夫、大丈夫」
頭を撫でると、煌は僕を抱きしめてくれた。
「今日は、僕の部屋で寝てく…?」
「でも…」
「お着替え持っておいでよ…煌。一緒に寝よ」
優しく言うと、煌はこくりと頷いた。
「煌…」
「何?」
一緒に布団に入ってしばらくしても寝れなくて僕は煌に話しかけた。
「煌が怒った所初めて見たから…少し怖かった。でも、とっても嬉しかったよ」
「…なんか、許せなくてかっとなっちゃって…」
ことが大きくなったと責任を感じているのがひしひしと伝わってくる。
僕はもう一度煌をしっかり抱きしめた。
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