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始まりⅡ
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夏休みの合宿最終日
片付けを済まして学校を出る頃には
もう辺りはすっかり暗くなってしまっていた
「じゃあ また明日な」
「おう じゃあな」
「お疲れ〜」
旭と別れて スガと二人の帰り道
分岐点で同じ様な事を言い別れ
少し行った所にある自販機の前で俺は足を止めた
「…喉乾いたな」
ボソリと呟いた声は 蝉の音にかき消された
鞄を開けて財布を取り出そうとして
俺はハッとなった
「ヤバ‼︎ これスガの‼︎」
開けるまで気が付かなかったがそれはスガの鞄で
どうやらバタバタと部室を出た際に
取り間違えてしまったらしい
「まだいるかな⁇」
俺は来た道を走って戻った
先程の場所に 当然スガは居なかったが
対して家も遠くないので 届けようと思い
そのままスガの家へと俺は歩いた
「ん⁇」
少し歩いた所で 俺はまた足を止めた
鼻腔から甘い匂いが入ってきて
心臓がドキドキとスゴイ速さで動くのを感じた
「…コレって」
去った方が良いと思うのに
何故かその匂いのする方へと足が進む
小さい公園の公衆トイレ
その前に俺は立っていた
「………」
どうしても もしかしてという思いが拭えず
意を決して ドアを叩いた
「………」
特に返事は無く 戸惑いながら俺は声を発した
「…スガ⁇」
少しの間の後 弱々しい返事が返ってきた
「…だ…いち…⁇」
「…うん」
…やっぱり
何で⁇って訊かれたら何でか解らないけど
なんと無く スガなんじゃないかって思っていた
「…大丈夫か⁇」
「…だい…ち…お…おれの…」
「うん スガの鞄持ってる 出て来れるか⁇」
ガチャッという鍵の音の後 ゆっくり扉が開き
その瞬間 俺は自分の鼻と口を手で覆った
「…あ…」
中からスガと一緒に出て来たのは
蒸せ返る程の甘い香り
初めての感覚に 膝から崩れ落ちそうだった
「…ありが…と…」
スガは 俺に手を伸ばしたかと思うと
そのまま前のめりに倒れ込んでしまった
「スガ‼︎」
上半身が地面に着く寸前で
なんとかキャッチすると
そのまま直ぐ側にあったベンチまで抱きかかえた
「…大丈夫か⁇」
「…ん」
改めてスガを直視して 思わず生唾を飲み込んだ
今にも雫が落ちそうな瞳に上気した頬乱れた呼吸
香ってくるフェロモンと相まって
頭がクラクラした
「…だい…ち…」
「…うん⁇」
頭を振ると なんとか笑顔を作った
「…ごめ……くすり…とっ…て…⁇」
スガが一言喋る度に 俺の中にある理性の糸が
プツプツと切れていくような気がした
「…だいち⁇」
スガに腕を引かれてハッとなり
俺は自分の顔面を思いっきり殴った
「だ⁉︎ え⁉︎ な⁉︎」
テンパるスガを気遣う余裕は無く
乱雑にスガの鞄を漁ると
サプリメントケースを見つけて
一緒に入っていた水と一緒にそれを手渡した
「…ゴメン‼︎」
その直ぐ後 俺はそう叫ぶと スガに背を向けた
このまま直視していたら
頭が可笑しくなりそうだった
後ろから 水を飲み込む音が聞こえ
袖が引っ張られる感触に 恐る恐る振り返った
「…ごめん…だいち…めいわく…だよな⁇」
「っっっ‼︎」
俺はスガに ガバッと抱きつくと
細身の身体を 力いっぱい抱き締めた
「ち 違うんだ‼︎ 俺…」
言葉の先に詰まり グッと言葉を飲み込む
「…だいち⁇」
「…俺」
中々言えないのは 自分に自信が無いのと
皆に嘘を吐いているから…
「…大地…もしかして…」
心なしかスガの口調がいつもと同じに戻っている
「…αなのか⁇」
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