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いやもう名前なんて近藤にだって、クラスの友達にだって呼ばれるけどさー。
もうね、響きが全ッ然違う。心に沁みわたる響きが。
すごい幸せー……。
古橋さんは穴があくほど俺を見つめ、ふと我に返ったように視線を反らした。
「あ…悪い。すぐ帰るから」
なんですとッ!?
俺は古橋さんの腕をガシィッと力いっぱい掴んだ。その衝撃で父が玄関の床に放り出される。
古橋さんは大げさなくらいビクッと身体を強張らせた。
「あぎゃッ」
父がカエルが潰れたような声を出したけど、そんなもん構っちゃいられませんッ!
ここは二人の世界ですッ!
「俺一人じゃ父を部屋まで運べませんッ!手伝ってください!」
構っちゃいられないけど、ダシには使わせてもらうよ、父さん。
古橋さんは気まずそうに俺の視線から目を反らす。
その挙動不審な態度。そのおどおどした表情が、俺の心に暗い炎を灯し始める。
心の中に悪魔が芽生えた。
「古橋さん…」
目を据えて、言葉を選ぶ。
「ここで帰るなら、父さんに洗いざらいぶちまけるよ!!」
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