アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
side鶴丸国永
-
一期は文句を言いながらも、弟たちを俺から引き離すような真似はしなかった。
ひとしきり、注意と説教をすると、ため息をつきながら、縁側に座り俺と喋ることが多くなった。
この時の一期一振の纏う雰囲気はゆったりとしていて、空気のようで、落ち着いた。
落ち着くけれど、縁側で会話をしてるときが一番表情を見せてくれる、俺にとっては驚きを与えてもらえる時間でもあった。
「父が驚きを、母が常識を教える・・・か。まるで夫婦のようで丁度良いではないか?」
冗談めいて、思わず言った一言。
瞬間、沸騰でもしたのかと言わんばかりに顔を赤く染めた一期の姿が目に入った。
新しい表情だ。
すぐに白い手袋に包まれた細長い指が、せっかくの表情を覆ってしまうが、一瞬見せたその表情は俺の脳裏に焼きついていた。
「め・・・夫婦ですか・・・?私と鶴丸殿が?」
うろたえている様を見るのは初めてだった。
「驚いた、君はそんな表情もするんだな」
「鶴丸殿だからですよ・・・」
意図を汲みかねる一言に、俺は思わず首をひねる。
俺だから、その表情になる?どういうことだ?
「私にとって、鶴丸殿は特別ですからな」
顔を覆っていていた手が離れ、再度表情が見えるようになる。
先ほどとはまた違う。
頬から耳にかけてはまだ赤みが残るけれど、まっすぐと意志の強い眼差しがそこにあった。
「先程の言葉が冗談だというのは重々承知です。けど、私にとっては夢のような言葉だ」
「一期・・・?」
「私にも確証があるわけではないのですが、貴方を特別だと思う。この気持ちはおそらく『好き』というものでしょう?」
一期は、すっと胸の辺りに手を添えてにっこりと笑ってみせた。
ここまで言われてわからぬ程、俺も鈍感ではない。
あぁ、そうか。
この居心地の良さは、一期の好意によるものだったのか。
思いがけない一言は、俺の中に思いのほかすんなり入ってきた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 45