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side鶴丸国永
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翌日は生憎の雨で、庭で短刀たちに仕掛けようと思いついた悪戯は、延期になってしまった。
短刀たちも同じく外で遊べず、実に退屈と言った様子で、縁側でだらだらと過ごす俺の付近に同じように寝転がっている。
「あー退屈だなぁ」
「でしたら、私と手合わせでも致しますか?道場なら雨にも濡れませんぞ」
頭上から響く声に視線を傾ける。
「悪くないお誘いだな」
目線の先には、いつもと何ら変わりなく、冷静で落ち着いた様子の一期。
昨日あんなに慌てふためいていたのが嘘のようだ。
「いち兄、どうしたの?」
「あぁ、お前達に言伝があってね、厨房におやつがあるよ。主が買ってきて下さった」
その言葉を聞くやいなや、短刀たちは、きゃあっと高い喜びの声をあげて、厨房に我先にと向かう。
「ちゃんと数はあるから、廊下は走らないように!主にお礼も言うんだよ!」
走り去っていく弟達に、後ろから注意の言葉を投げかける。
すでに、廊下の角を曲がり姿の見えなくなった、短刀たちから「わかりましたー!」と明るい声。
しかし注意の効果の薄さが手に取るようにわかる、軽い足取りがパタパタと響いた。
「本当にわかっているんでしょうか・・・」
一期は苦笑しながら、俺の横に腰をおろした。
「一期が過保護すぎるんだろ、大丈夫だよ、一度滑って転べば自然と走らなくなるさ」
「確かに、過保護といわれてしまうと、否定する言葉が浮かびませんな」
過保護という言葉に、うんうんと頷きながら、一期は笑う。
昨日までは、その笑顔だけで、十分だったはずなのに。
厄介なものだな。
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