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side一期一振
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目を覚ますと、涙目の秋田と前田が飛びついてきた。
一瞬、何事かと思ったが、すぐに朦朧とした頭に記憶が蘇る。
そうだ、私は重傷を負って、手入れ部屋に入れられたのだ。
周囲を見渡すと、見慣れた風景。自室に既に戻っているようだ。
自分の周りには二人だけでなく、弟達が勢揃いしていた。
「みんなに心配をかけてしまったようだね、申し訳ない」
二人の頭を撫でてやりながら、全員に視線をやって謝る。
外はもう暗い。
時間を確認すると、普段なら既に弟達は寝入っている時間だ。
随分、心配をかけてしまったようだ。
「私はもう大丈夫だから、皆もう寝てしまいなさい」
「いち兄は?どこに行くの?」
「今日、ご迷惑をかけた方々に挨拶だけして戻って来るよ」
「もう結構な夜更けだぜ?」
「どうせ、今からすぐには寝付けないからね。もし休まれていたら明日出直すさ。秋田も前田も今日は疲れただろう?ゆっくりお休み」
手入れ部屋に入る時には、かけられなかった言葉を、ようやくかけてやれた。
二人は涙を浮かべたまま、笑顔をみせ、乱と薬研に手を引かれ自分達の部屋へ向かっていく。
「あぁ、そうだ、いち兄」
何かを思い出したように、薬研が振り返った。
「なんだい?」
「多分、いち兄は朝まで帰って来れないだろうから、気をつけてな」
「・・・ん?」
「次郎太刀のとこにも行くんだろう?夕餉の時から宴会してるからな、きっと簡単には返して貰えないはずだ。じゃあおやすみ」
「あぁ、なるほど・・・お休み」
まずは行くべきは主だろう。
順に、今回出陣を中止させてしまった部隊の部隊長である燭台切殿、その部隊の方々に謝罪に向かおう。
その部隊の中にいるメンバーの中にいる、次郎太刀殿。
確かに薬研の言う通り、すぐに帰しては貰えなさそうだ・・・。
既に宴会を開いて出来上がっているだろう風景を想像して苦笑いしてしまう。
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