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明日になったら 黒月⑴
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「ああ…会いたい…」
ベッドに寝転がってスマートフォンを眺める
その液晶には愛しい人の名前
暑さでおかしくなったのかガラにもないことを口走る
会えないのは分かってる
「黒尾さん…」
持っていたスマートフォンをそばに置いてもう一度呟く
『…なぁに?蛍ちゃん』
「えっ、はぁ?!くろ、お、さん?」
僕を呼ぶ声がして飛び起きた
『あれ、電話したんじゃなかったの?なんだー、蛍ちゃんから電話してくるなんて滅多にないからちょっと嬉しかったのに』
スマートフォン越しにでもニヤニヤしてるのが伝わる
「…よくそんな恥ずかしいこと言えますね」
『いいじゃん、会いたかったんでしょ。俺に』
相変わらず余裕ぶっこいてるし、やっぱりつっかかってくる
「…サイアク……」
『まぁまぁそう言うなって。…明日、会いに行くから』
「はあ??」
『…なに』
ありえない
ありえない
ありえない
明日、なんて急すぎる
なにも用意してない
心の準備ができてない
「…こなくていいです」
『俺が会いたいから行く』
「…こないでください」
『なんで?なんかやましいことあんの?』
「ないです、けど…会いたくない、から…です…」
『だーめ。俺が会いたいから明日駅まで迎えにきて。じゃあ、明日な。おやすみ。愛してるよ』
一方的に電話を切られた
「…愛してる、なんて普通言わないデショ…」
恥ずかし気もなく愛の言葉を伝えてくる黒尾さんに言い返すこともできなくて、もう一度そのままベッドに寝転ぶ
「愛してる…なんて言えるわけないか」
今更思い出して顔が熱くなった
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