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泡沫の恋 東西⑵
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いつものように帰る準備をしていたら勢いよく教室のドアが開いた
今日部活は休みのはず
「あーさーひーさんっ!」
「わあ!!!もうやめろよ西ノ谷…今日はなに?部活は休みでしょ?」
「帰りましょ!!!」
「え、お、俺と?」
「他に誰がいるんですか!」
「いやぁ、そそそうだけど…」
「嫌ですか?」
「ううん、いやとかじゃないんだ、ただちょっとびっくりして…」
オロオロしてしまう
大地が見たら怒るだろうなあ
二人で帰るなんてなんだか恋人みたいじゃないか…
恋人…
「うわぁ…」
自爆してしまった
恥ずかしい
「旭さん!どうしたんスか!帰りますよ!」
「え、あ、う、うん。そうだね、かか帰ろうか」
西ノ谷はいつも通りでちょっと意識した自分がバカみたいで恥ずかしくなった
「ねえ、旭さん。…旭さんは告白されたらどうしますか?」
「ぶはっ…ごほっ…ごほ…え、え、なに急に…」
急にそんな話するなよ…
せっかく忘れてたのに…
「だ、大丈夫ですか!!!!…なんかすいません」
「あ、あぁ大丈夫ごめんごめん。告白ねえ…どうしたの急に」
「友達から相談されて…俺よくわかんないから…」
「俺は告白されたら嬉しいかなあ。こんなんだからさ、告白とかされたことないしね」
へへへっと自嘲気味に笑った
「じゃあ、俺が一番になります」
「え…?」
西ノ谷と目が合う
身長差は30cmほど
逆光で顔がよく見えない
「旭さん…すきです、俺。旭さんのこと。付き合ってくれますか」
夕日がほんの少し雲に隠れた瞬間、西ノ谷の目が真剣なのを知った
「…俺でいいの?」
「旭さんがいいです」
「つまんないよ、多分」
「わかってます」
「わかってます、はキツイなあ…」
「けど…!俺、本気で…」
「うん、わかるよ。試合中とおんなじ顔してるからね」
期待なんてしてなかったのに
この代償に神様は何を奪うつもりだろう
「俺でいいなら…こちらこそよろしく。西ノ谷」
「はいっ!!」
西ノ谷がすごく幸せそうな顔をして笑うから、目線を合わせてそっと頭を撫でてやった
心なしか、いつもより嬉しそうに見えた
fin.
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