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白百合 及菅⑴
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練習試合で少し頭を冷やそうとタオルを持って外に出ると見覚えのある人を見つけた
「あー、おいか、わ…」
遠くにいるのが見えて声をかけようと少し近寄るがファンらしき女の子に囲まれてるのを見て知らないうちに語尾が弱くなった
「あ!菅ちゃーん!なになにー及川さんに会いたくなっちゃったー?」
「あ、いや、見つけたから、少し話せないかなって…」
相変わらず大袈裟な愛情表現にドギマギする
何をしてもかっこいいから様になるんだよなあ、なんて思ってたら抱きしめられた
「あぁほんっとかわいい。泣かせたい」
「ちょ…離してっ…」
泣かせたい、っていうのは聞かなかったことにする
周りにいる女の子がキャーキャー言ってるし視線が怖いから早く離してほしい
「ねぇねぇ菅ちゃん、ちゅーは?」
「…しないよ」
ボソボソと呟く
いいからもう離して…
わざとやってるのは分かってるから
「えー!なんでー!」
「…周り見ろよ、もう…」
だんだん顔が熱くなる
恥ずかしい
それを見ていた及川が嫌そうにそっと腕を離した
プイっと俯いてじゃ…と別れを告げて振り向いたら手をひかれた
「ん、なに…」
「帰ったら連絡するね」
いつものヘラヘラした笑顔じゃなくて口元だけニッと笑ってひらひらと手を振ってくるりと踵を返して消えていった
「くっそー…」
恥ずかしくなって両手で顔を隠す
思い出して顔が熱くなる
こんなんじゃ戻れないと思って近くにあった水道で荒っぽく顔を洗った
「あー…戻ろ」
一つだけ呟いてみんなのいるところに戻った
それから何回か試合をして、6時くらいには学校に帰った
それから少しミーティングをして明日の部活は休み、という連絡を受けて解散した
及川が電話する、と言っていたから家に帰ってもそわそわしていた
風呂に入ってご飯も食べて、ベッドでゴロゴロと電話を待つ
PRRRRRR
いつの間にかうつらうつらしていたらしく、コールが鳴って慌てて通話ボタンを押す
「…はい」
『お疲れさま。寝てた?』
いつもより少し優しい声
いつものヘラヘラした及川も好きだけどこうやって俺だけに優しさを向ける及川も好きだ
「ん、ちょっとね…けど大丈夫」
『無理しちゃダメだよー?菅ちゃんすーぐ無理するんだからぁ』
ちょっと馬鹿にされてムッとしたから言い返した
というより、少しは甘えろ、と
「及川だって甘えていいべ?ほら、たまには言うこと聞いてやるから」
『わー、なにそれ及川さん嬉しい!じゃあさ、明日放課後部活ないからデートしよ!』
「ん、じゃ明日学校終わったらそっち行くからさ、校門とかで待ってて」
らしくない、と思ったけどまあ放課後にデートするくらいどうってことないか
『おっけー!楽しみにしてるね!おやすみ』
「んー、おやすみ」
電話を切ったらそのまま記憶が途切れた
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