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氷点下 黒月⑵
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寒い冬の日、インターホンが鳴る
ピンポーンと無機質な音が響いて緊張が走る
ばくばくと高鳴る心臓を抑えてドアを開けると、予想とは違って悲しそうな顔をしていた
「いらっしゃい。入んな」
「…おじゃまします」
「コーヒーいれるからその辺座っといて、って…蛍?」
「…ごめんなさい」
謝りたいのはこっちだ
「蛍、とりあえずそこ座りな。俺ここにいる。大丈夫だから」
こくんと頷いてコートとマフラー置いてベッドを背もたれにして座った
会いたかったはずなのに、なんでこんなに遠いんだ
コーヒーを二つ用意した
一つはブラック、もう一つは砂糖がたっぷり入ったミルクコーヒー
白と黒の色違いのマグカップを手に持って隣に座る
「はい、どーぞ。寒かったろ?ごめんな」
そう言ってそっと頭を撫でる
さっきから俯いて話そうとしない
「…なぁ、蛍。俺ちゃんとお前のこと見てるよ」
「知ってます、そんなこと」
「じゃあなんで泣きそうなんだよ」
「黒尾さん…」
「こっちおいで」
向かい合って抱きしめる様にして座らせた
安心したのか肩に顔を埋めて腕が背中に回ってきた
トントンと背中を叩いて応えるように抱きしめる
まだ、目を見てない
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