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待ち合わせは深夜2時 黒月⑴
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いつもそう
彼と会う日、待ち合わせは深夜の駅前
人影もなく、静まり返ったロータリーに見慣れた人影を見つけ、近づいていく
「こんばんは」
驚いたようにはっと顔をあげると立ち上がって覆いかぶさるように抱きしめられた
「こないと思ってた…」
小さく震えながらそう言う彼の背中を撫で、頭を撫でる
「いつ、僕がそんなこと言いました?」
「言ってない…」
ぎゅうっと抱きしめられる力に応えるようにそっと手を回した
「帰りましょう」
「部屋、片付けてない…」
「わかってます」
「家なんもない…」
「わかってますってば」
何回も聞いたセリフを繰り返す
愛しくなってふっと口元を緩めた
「ごめん…」
「僕がいなきゃ何もできないくせにキャプテンなんかやってるのびっくりですよほんと」
普段の姿からは想像もつかない
コートに立ち、チームの士気を高め、自らスパイクを打ち、点を取る
そんな姿は見当たらない
「ん…悪ぃ…」
「あーはいはい、謝らなくていいです。帰りましょう」
「嫌われなくてよかった…」
だんだんと弱気になっていくにつれて小さくなる声とは反対に、抱きしめられた腕には力がこもる
「ばかじゃないですか、貴方がこんな人だってもうわかってますよ。今更このくらいじゃなんにも思いません」
「俺…だせぇ…かっこ悪りぃ…」
「なに泣いてるんですか」
普段見れない姿を見せられ、僕だけなんだと、特別なんだといつもひしひしと感じる
「…泣いてない」
「はいはい。ほら、はやく帰りますよ。ご飯作るんで食材買っ…んっ…はぁ…ったく…なに急にサカってるんですか…場所考えてくださいよ」
少し手を緩めたかと思うと突然唇を塞がれた
甘いキスではなくて少し焦ったような荒っぽいキス
多分彼も不安で仕方ないのだろう
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