アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
TELL ME 黒月⑴
-
滅多にかかってこない恋人からの電話
不安そうに名前が光る
気のせいか
そうであってほしい
「もしもーし。どした?」
『……』
わざとらしく明るい声で対応する
もちろん返事はない
「蛍ちゃーん」
今度は名前を呼んでみる
多分きっと返事はない
『………』
ほら
「なに、どしたの」
仕方なく、はぁ、とため息をついて聞く
ここまで返事がないとさすがにつらい
『……会い、たい…です…』
死にそうな声で言われた
そんなことされたら俺が死ぬ
「あー…うん、俺も」
さっきまでの勢いはどこに行ったのか、急に恥ずかしくなる
『ごめ、なさいっ…切ります…っ』
きっと泣いてる
一方的に電話を切られ、虚しくも(通話終了)の文字に目を落とす
「会いたいのお前だけじゃねえよ…」
届かない声はどこかに消えていった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 102