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TELL ME 黒月⑶
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「じゃあね、ツッキー!」
「うん、じゃ」
そういっていつもみたいに山口と別れた
少し歩いて家の前に人影があるのに気づいた
誰だよこんな時間に…なんて思って徐々に近づくと向こうもこっちに気づいたらしく、いじっていたスマホから顔を上げた
手を広げてニヤリと笑う
「おかえ、り」
思い切り抱きしめてやった
鞄を落とした
そんなのどうでもいい
そこには愛しい人
涙が零れた
「なに、してるんですか」
「…会いたいって言ったの蛍ちゃんでしょ」
そういえばそうだった
耐えられなくて我慢できなくて電話をかけたんだった
「いつも、会いたいって言われたら会いにいくんですか」
なに聞いてるの
かっこわるい
「ん?」
「前の、彼女さんとか、会いにいってたんですか…」
どうしよう、どうしよう、どうしよう
頭がおかしくなりそう
なに言ってんの
なに聞いてんの
「行かなかったよ。めんどくさかったし。そんなに好きじゃなかったし。俺も初めてこんなとこまで来た」
そういってははは、と笑う声は嘘なんて吐いてない
どうしたものかと考える
愛しくて、会いたくて、寂しくなって、傍にいたくて、こんなの初めてだった
「バカみたい…」
「そうだなあ」
「だけど、そんなことで嬉しくなるくらい貴方のことが好きみたいです」
「調子狂うなあ…」
そっと唇が重なる
まだ、足りない
fin.
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