アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
めりくり 黒月⑴
-
『ツッキー、メリークリスマス』
電話がかかってきた
メリークリスマス、だなんて
聞きたくない、そんなの
「…なんなんですか」
『クリスマスじゃん、声くらい聞きたいでしょ』
声を聞くと、苦しくなる
だから、クリスマスなんて嫌いだ
会えないくらいなら、声なんて聞きたくない
「…クリスマスなんて、今までなんとも思わなかったんです。どうでもよかった。…けど、僕は今、貴方に会いたい。プレゼントなんて何も用意してないけど、それでも貴方に会いたい」
初めてこんなこと言った気がする
ただ貴方に会いたい、だなんて恥ずかしい
『蛍ちゃん、いま家?一人?』
「…だったらなんですか」
やたら余裕ぶってる声
聞きたくないけど聞きたい
自分の声は自分が思ってるより不機嫌だ
『出てこれるよな?駅まで』
ニッと笑う姿が想像できた
「…!!はい、すぐ、すぐ、行きます、そこにいてください…!」
『おう、待ってる』
さっきとは比べものにならないくらい嬉しそうな声で答える
そしたらさっきより嬉しそうな声で待ってる、と声がした
電話を切ったら慌ててコートを着て、マフラーを巻いて、バタバタと階段を駆け降りる
駅まで走って15分
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 102