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左手 月菅⑸
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ベッドに座ってつらつらと話し始める
隣には月島
触れそうで触れられない距離
「俺さ、死んじゃうかもって思った」
「はい?」
声が震える
怖い
「月島が及川とちゅーしてんの見てさ、あ、俺捨てられたなって。けどお前は俺に会いたいとか言うし、頭ん中ぐちゃぐちゃになって死んじゃうかもって。俺やっぱお前が傍にいないとさみしい」
フラフラと居場所のない左手をきゅっと握られる
怖くて離したかった
離してほしかった
隣にいる資格なんてきっとない
それなのに握られた左手から伝わる熱にドクドクと心臓が脈打つ
「はぁ……もう、なんなんですか」
「俺ばっかお前のことすきみたい…」
「僕、言いましたよね?好きになったから付き合ってください、って」
手が離れて、俯く俺の頬に手が添えられる
じんわりと広がる温かさに涙腺が緩む
苦しい、苦しい、苦しい
「うん…」
「不安ですか」
「うん…俺には、ちゅー、してくんないし」
「…え?」
そう言うと驚いた顔をしてピタッと動きが止まった
「お前と付き合ってる時点で、覚悟なんかとっくにできてんだよ…なに、気遣ってんの、ばかじゃねーの…」
ボロボロと涙が零れる
苦しくてぎゅっと手を握りしめた
そっと涙を拭われてそのまま優しく抱きしめられた
ふわっと香るシャンプーの匂いが鼻を掠めた
「顔、上げてください」
「泣いてるからヤダ」
「いいから」
「やだ…」
両頬を手で包まれて、至近距離で目を合わせるように覗きこまれた
ほんの少し赤くなった月島を見て、胸がぎゅっと苦しくなった
「…キス、していいんですよね。じゃあ僕遠慮も我慢もしませんけど…いいですか」
「…遠慮も我慢も知らないだろ」
「そうかもしれないですね」
目を逸らしたら、ふわっと微笑んだのが視界に入って顔が熱くなった
熱を帯びた瞳はゆらゆら揺れているのに、そっと頭を撫でて怖いですか?と聞く
フルフルと首を振れば、安心したように微笑んだ
ゆっくり顔が近づいてきて、そっと唇が重なった
触れるだけのキスに物足りなさを感じながらぎゅっと抱きついた
震える手が背中に回ってきて、不安そうに抱き返された
耳元でそっと囁くように言われたのは、一番聞きたい言葉だった
「菅原さん、すきです。まだ、僕の傍にいてくれませんか?」
fin.
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