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ホログラム 及菅⑶
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手を繋いでついていく
今にも涙が溢れそうで、たまにぎゅっと力を込められる
だからそれに応えるように俺もぎゅっと握り返す
「会えなくなる、ってさ、いつまで」
発した声は震えていた
足を止めて振り返る及川
視界が涙で滲む
「わかんない。けど、会いにいくよ。会いたいもん」
ほら、また、困ったように笑う
「…ごめん、変なこと聞いて。ちょっとだけ、ぎゅってして」
「仕方ないなあ…」
我慢できなかった
及川に抱きしめられながら、さみしい、いやだ、置いて行かないで、そばにいて、思ったことを全部吐き出して泣いた
恥ずかしいったら
「もう平気?」
「…ん、大丈夫」
笑えてるかな
「…無理して笑わなくていいよ」
なんだよ、わかってんのかよ
そっと頭を撫でられる
また手を繋いで歩き始める
「いやだよ、ほんとは」
「知ってるよ。俺もいやだ。…あのさ、待っててくれない?全日本、ちゃんとスタメンで出て、優勝して、迎えにいくから」
「…じゃあそれまで会いにくんなよ」
「菅ちゃんがそう言うなら仕方ないね」
「…電話くらいはする」
「ふふ、待ってるね」
家についたら、及川の親が最後だからって晩御飯をご馳走してくれて、少しだけでいいからって言われて及川の部屋にあげてもらった
「ねぇ、ちゅー、して」
「言うと思ってた。ちゅーだけ?」
「それ以上はダメ。明日早いんでしょ」
「最後なのに?」
「最後だから」
「んー、仕方ない。こっちおいで」
両手で頬を包まれて、じっと見つめ合う
「かわいい…」
いつもより優しく笑う及川に目を奪われた途端に目の前が暗くなった
「……んんっ」
「舌、出して…そう、上手」
「ん、は…」
閉じた瞼から涙が溢れる
相変わらず視界は滲んだまま
その時俺は及川が泣いてるのに気づかなかった
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