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ホログラム 及菅⑹
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その夜、興奮して寝れなかった
何もしてないのに、高校時代を思い出した
体育館の匂い、シューズの鳴る音、飛び交う声
引退してから一度も袖を通してないユニホームを眺める
懐かしさに浸っていると携帯が鳴った
もちろん相手は及川
『もしもし?見てた?』
期待のこもった声
「見てたよ。おめでとう」
『ありがと」
声が震えてるのが自分でもわかる
会いたい
「てか、なに、あれ…」
『ん?あぁ、素敵でしょ?公開プロポーズ』
ふふん、と自慢げに言う
及川はやっぱり変わった
こんなこと前はしなかった
好きだっていう声だけは前と変わらない
優しくて、あったかい
「あんなの…いいから、指輪でも持って、会いに来いよ…」
『会いに行っていいの?』
そうやって聞いてくるところも相変わらず
答えなんて聞かなくてもわかってるくせに
「お前の、恋人がっ…会いたいって言ってんの…っもう、切るから…」
いつの間にか零れ落ちる涙を拭いながら電話を切った
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