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ピシリと固まった空気に俺の心臓はバクバクと跳ね上がる。そんな少女漫画みたいな動悸じゃなくて、蛇に睨まれた蛙が生命の危機を感じるような。血管から伝わる脈の早さと大太鼓を全力で叩く俺の心臓で体は今にも張り裂けそうだ。目の奥に潜む男の思考は何を思っているか、俺には理解できない、が、その「付き合って」が街に買いもの行くから付き合っての類だと全力で信じたい。兎に角聞かなければと口を開くが相手が遮ってきた。
「言わなくても君は理解してるでしょ?」
「あっ...ははは」
カラ笑いが出て冷や汗が体の全身を覆い始める。どうやらこちらの考えは手に取るように分かるらしい。わざわざ聞いてくるなと言う副音声が聞こえたのは気のせいではないはず。待て、全力で考えるんだ。何か策はあるはずだ。全力でこの流れを打開できる言葉が。
「俺、一応男ですけど」
「そんなの言わなくても疑わないよ、それともそんな強面で私女子ですとか言うの?そんな哀れな子じゃないよね?」
仮にも交際を申し込んでる相手に対して発せられる「強面」とか「哀れな子」とか言うのはどうだろう。並ぶ言葉に泣きそうになった。確かに中学に上がって以来割と多めに不良に絡まれたり、先生に目をつけられたりとあった。何もしてないのに教育指導の先生に事ある毎に呼び出されたりもした。それは高校に入学してからも変わらず、そこらの不良に喧嘩をふっかけられたら全力で逃げる日々を送っている。しかも顔に似合わないが喧嘩は怖いのだ。昔中学生の頃に抵抗しようと喧嘩を買ったがズタボロというトラウマを受けたからだ。
「なら、なんでそんな強面男にこんな事を言っているのか教えてください」
「一目惚れ」
即答でハートが語尾にくっついて来そうな物言いに頭を抱えた。今しがた強面だとか文句を言っていたのは他でもない目の前の男だというのに。
「あれ?信じてない顔してるね」
「あたりまえですよ」
ムッと睨みながら手に滲み出る汗をギュッと握り込む。するとククッと喉を鳴らすような笑いが室内に響いた。
「この遊園地、覚えてない?」
そう見せられたのは先月にクラスメイトと遊びに行った遊園地のパンフレットだった。
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