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俺とコイツとコイツの息子 2
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「こちらです。菅さんはB型だとお聞きしました。間違いありませんか?では、よろしくお願いします」
病院に着くなり、看護師が待ち構えていて、俺はバタバタと輸血ルームに連れて行かれた。
その日は、たまたまB型の血液が不足していたらしい。仁科はA型だから、B型の圭汰には輸血をしてやれなかったという事だ。
……ん?
おかしい。確か、俺は以前、圭汰の血液型をA型だと聞かされていたような気がするが…。
電話を受けた時には俺も冷静ではいられなかったため、そこまで頭が回らなかったが、今、こうして俺の血を輸血して、状態が安定した圭汰を前にすると、ようやく冷静に物事を考える事ができるようになっていた。
まぁ、とりあえず落ち着いてから仁科に確認しよう。
仁科も、圭汰の容態が落ち着くまでは、死にそうな顔をして病院内をうろうろしていたのだから…。
「で、なんで圭汰がB型なんだ?A型って言ってなかった?」
圭汰の容態も、仁科の様子もひと段落付き、もう安心していいと医者に言われた俺達は、病院の休憩室でコーヒーを飲んでいた。
「え?医者が、そう言うから…」
うん。医者は患者の血液を調べるから、調べてB型ならそう言うだろうね。
「ちげーよっ。そういう事じゃなくてっ。お前がA型で、あの女がO型なら、圭汰はA型かO型でないとおかしいだろうがっ」
あの女とは、言うまでもなく出て行った仁科の元妻、圭汰の母親の事だ。あの女の血液型はO型だった。
「そうなのか?」
仁科はきょとんとした顔で、中学生で習う事が分からないというおバカっぷりを俺に晒す。
「そうだよっ。どっちかの親がB型かAB型でないと、B型の子供は生まれないんだよっ。このバカっ」
「そうなのか…」
そうなのかじゃねぇよ。納得してんじゃねぇよ。
この馬鹿は、今の今まで…、いや、今この時になっても、女に騙された事に全く気づいていないのか?
圭汰がB型って事は、仁科とは血のつながりがないって事で…、という事は、もしかしたら女はそれを分かっていて、仁科を嵌めて結婚したって可能性もある訳で…。
そう考えたら、無性に女に腹が立ってくる。
……けど。
「はぁ…、まあ、いいか」
俺は仁科をちらりと見て、口角を緩める。
「なにが?」
今更、仁科に事実を教えたところで圭汰はすでに俺達の息子みたいなものだし、仁科と血がつながっていないからといって、俺達の関係を変えるつもりもない。
寧ろ、子供が出来ない俺達に息子を残してくれたんだから、感謝しなきゃなんねぇかもしれない。
「圭汰が無事なら、それでいいって事」
俺は仁科ににかって笑ってやった。それを見て、仁科もへらって笑う。
「うん。ホントに…無事で良かった」
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