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龍ヶ崎家の月森さん 1
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「ねぇ? 俺は、お前が欲しいんだ。
一緒に来てくれるかい?」
ーーーその言葉から、私たちの関係は始まった
私、月森シズマには生まれてこのかた19年、主人(あるじ)ができた事がない
大抵の月森家の者は、中学高校で主人を見つけその方の親衛隊長となってその後も関係性を持っていく
だが、私には中学高校で〝仕えたい〟と思う方と巡り会うことができなかった
そのまま、月森の大婆様の指南通り会社の経営者の息子が多く通うトップの大学に入ったが、
周りに沸くのは今も昔も変わらず私を〝月森〟としか見ない者ばかり
「月森シズマ様っ、僕を貴方の主人にしてください!」
「いや、シズマ。俺が主人だろ?」
「そんな頼み方じゃダメでしょ!ほらシズマ様、僕の家こんなに大きいんですよ?僕の下に付いた方がずっといいですって。」
「……………。」
(もう、正直うんざりだ。)
毎日毎日こんなので、本当に私の主人は見つかるのか…
大体、どうして私は月森に生まれたんだ?
(いくら幼い頃からのあの厳しい教育を受けていても、
主人を見つける才能が無いのではまるで意味が無いな…)
〝焦るんじゃないよ。運に身を任せるんだ。〟と、大婆様はよく言う
その言葉通り運に身を任せてここまで来たはいいが……
結局のところ、どうやら私にはとことん運が無いのだろう
はぁぁ…私の大学生活も、中学高校のようにこのまま流れて終わるのか。
(ここを卒業して社会人になったら、会えるのか?)
それとも、もう一生…私はこのままなのだろうかーーー
(ん、この場所に誰かいるのは珍しいな。)
大学図書館の東側の隅っこの席
東側はマニアックな専門書で溢れている為、滅多に人が来る事は無い
そんな場所で、椅子に座って1人の学生が眠っている。
外を歩けばワラワラと学生に付いて来られるのがオチなので、私はいつも授業がない時は大半をここで過ごしていた
(誰だこいつは……)
初めて見る顔だ
私が知らないのならば、そこまで有名な家の者でもないのだろう
「…ん、んー……?」
人の気配がしたのか、クワァァ…と欠伸をしながらその人物は起きる
「あ、月森シズマだ。」
「…………。」
(開口一番が、それか。)
こいつも、他の奴らと一緒か……
「君ってさ、
ーーー面白いよね。」
「…………は、?」
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