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〝ぼく〟
(イロハ、また一人称がズレてる……)
でも、あの日カズマに言われた通りそれを突っ込むことはしない
「そうなんだっ。2人とも凄く仲良しだもんね。ふふふ、お似合いだと思う。」
「本当に…?ありがとハルっ。
実はね、中学の頃ぼく告白されてるんだ、カズマに。」
「へ、」
「でもね、それ…断っちゃって……」
「ぇ……、」
隣を見ると、イロハは上を向いて綺麗なお月様を見ながら話していた
「ハルも、何となく気づいてるでしょっ? おれの事。」
その目がニコッと俺の方を向く
いつもの元気な笑顔のはずなのに、それが脆く儚く見えて、目の前のイロハが消えてしまいそうで…
思わずギュッと心臓が痛くなった
「佐古くんも気づいてるよねっ。 でも、2人ともそれをおれに聞いてこないのは、2人の優しさもあるだろうけど、多分…カズマが何か言ってるんじゃないのかなぁ……なんて。」
えへへと笑われて、言葉に詰まる
「ーーーうん、やっぱりそうだったんだ。」
「っ、ごめんイロハっ、」
「えぇっ、何でハルが謝るのっ? 別に悪い事してないじゃんか!」
「もーだから何も悪い事してないのに謝るのやめよって、1番初めに出会った時言ったよねおれーー!」とイロハの両手が俺の頬をビヨーンと優しく伸ばしてきた
「ほ、ほめんなはっ、」
「あぁ!また謝った!ちょっとハル今の話聞いてたっ?」
「あ、あぅぅ…、」
「………っ、ふふふっ、」
「……っ、へへへ、」
そっとほっぺから手が離れていって
「あははははっ、!」
「クスッ、はははははっ!」
顔を見合わせて、ひとしきり笑いあった
「逃げてちゃ駄目だなって、思うんだ。」
「うん。」
「何から?」とは、聞かない
「ちゃんと向き合って、乗り越えなきゃいけないなって思う。前から考えてたんだけど、でもハルや佐古くんに出会ってからもっとそう思えるようになって…
わたし、このままでずっと生きてくのかなぁって考えてた。でもね、やっぱり〝おれはおかしい〟から…だから、ちゃんと向き合わなきゃ、いけなくて……っ、」
「イロハ。イロハはおかしくなんかない。」
ぎゅぅっと強く、すぐ隣で震えてる手を両手で包み込む
「イロハはね、何もおかしくない。いつも元気で、言わなくてもたくさんの事に気づける優しい子だよ? 僕、もう何度もイロハに救われてるんだ。」
本当に、イロハにはいつも助けられてばかりで。
「だからね、自分の事そうやって否定しないで欲しいなぁ。イロハは、僕たちには無いものをたくさん持ってるから。」
「っ、ハル……っ、」
「大丈夫だよ、まだまだ人生長いでしょ。焦らずにゆっくり行こ? ね?」
「〜〜〜っ!!
あははっ、ハル、カズマとおんなじ言葉言ってるっ。」
「え、」
「カズマもね、おれが告白断った時そう言ってくれたんだ。」
〝お前はお前だ。俺はもうずっとずっと、隣で見て来た。焦るな、人生まだ長い。少しづつ乗り越えていけばいい。俺は、待ってるから。〟
「待ってる…から……か。」
「それで、結局そのまま高校生になっちゃった。カズマは本当、いつもおれの隣にいてくれて…支えてくれてるんだ。」
「イロハもカズマのことが好きなのに、どうして断っちゃったの?」
「けじめ…かなぁ……」
「けじめ?」
「うん。このままの状態のぼくと付き合って欲しくなくて…だから、ちゃんとわたしが乗り越えて……
その時は、今度はおれから告白したいって思うんだ。」
(っ、嗚呼……)
やっぱり、イロハは強くて真っ直ぐだ
(眩しい、な。)
「ちゃんと乗り越えたらハルたちにも話すから、だから待っててね。」
「うん、わかった。待ってる。」
「えへへ、有難うハルー!」
ぎゅぅっと抱きついてきてくれて、凄く暖かい
「おれね、頑張るよ。
待っててくれる人たちがいるし、もう逃げない。
ーーーだからね?
ハルも…もう自分の気持ちから目を背けるのは、辞めにしない?」
「ーーーーーぇ、?」
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