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sideアキ: 学校事情とみんなの事
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ガチャッ!
「アキ、ただいまっ!」
「ハル、おかえりっ!」
小鳥遊の屋敷にいた時とは逆だなと思いながら、抱き着いてきた大好きな存在を抱きしめ返した
先生や先輩が来てくれた次の日、訪ねてくれたのはレイヤとハル
「アキ、体大丈夫?」
「うんうんもう何ともない!ハル怒ってくれたんだろ?」
「当たり前じゃん!だってアキ初めてだったのに…なのに気を失うまでしたとか、ほんっとサイテー。」
「っ、ちゃんと節度は考えたっつっただろ、もういいだろうが……」
「はぁ節度…?それ使い方間違ってるって、もっかい小学生からやり直したら??」
「わーハルさん俺本当に大丈夫だからー!!」
怒んないでー!とハルにぎゅっと抱きついて何とか治める
「月森先輩も怒ってたんだよ?」
「ぇ、先輩も……?」
ハルとレイヤが屋敷から登校した日、校門まで迎えに来てくれた先輩はハルの顔を見ただけで全てを理解したらしい
(まじ?昨日は何も言ってなかったけどな、先輩流石…)
顔見ただけで分かるって……これはもう隠し事できないやつだ…ってか先輩が怒るとかやばそう……
チラッとレイヤを見るとバツが悪そうな顔をしてて、思わず苦笑する
「でもねハル? 俺、すっごい幸せだったんだ。」
本当に…もうただただ暖かくて
俺こんなに幸せでいいのかな?って思うくらい幸せな時間だった
思い出してほわりと笑うと「はぁぁぁ…」と2人からため息
「だから、これだハル分かるか?これは誰でもやられるだろうが……」
「いや、うん分かるよ…分かる。でもさ、ちょっとは我慢してよ。」
「は?無理だろ今すぐ抱きてぇんだけど。」
「なっ、だーめーでーすー!!」
「ん、ん…2人とも……?」
「アキ、アキはそのままでいいからね。無意識程可愛いものってないよね。」
「あぁそれには同意する。けどちょっとは気をつけてくれねぇと…他の奴らにまでそれ撒き散らすなよ。」
「そこはレイヤが頑張るんでしょ。」
「いや無理があるだろ。」
(あぁーこの2人はほんっっっと、)
仲がいいのか悪いのかどっちなんだ……?
ってかいつの間にそんなに仲良くなったの??
ハルに抱きしめられながら、レイヤに頭を撫でられながら
とりあえずこの謎の話が終わるまで待った
「ねぇハル。学校はどう?」
「凄く快適だよ!アキが整えてくれたおかげ。」
「本当に?良かったっ。」
お茶とお菓子を食べながら、一息ついてまた話し始める
「クラスも良い子達ばっかりだし、親衛隊も楽しいし、生徒会も先輩たち面白いよっ!」
「わぁ懐かしい…!みんな元気そう?」
「うんうん元気!!」
「そう言えば、」
コトリとレイヤがカップを机に置いた
「あいつら、無事志望してた大学に受かったらしいぞ。」
「!! 本当に……?」
「あぁ、何故か1番に俺に報告してきやがった。」
『かいちょ〜見て〜〜!!受かった〜〜!』
『お、れも……受かっ…た………、!』
『勿論私もですよ?ほら。』
放課後ガチャリと訪ねてきて、合格通知書を目の前いっぱいに広げられたらしい
「〝有難う〟って言われたなぁ…俺何にもやってねぇけど。」
「ふふっ、いっぱいやってあげたでしょう?副会長たちは嬉しかったんですよきっと。」
ひとりひとりとしっかり向き合って、その人に合う仕事の仕方を教えてあげて、育てて…
きっと、それが勉強にも活かせたんじゃないんだろうか。
(先輩たち、本当に良かった……)
おめでとうございます。
後は、卒業まで高校生活を楽しむのみですね。
(決算の時先輩たちに生徒会の仕事をさせずに模試へ注力させたことも、効いてるかな?)
もしそうだったとしたら、あの時2人でやり切った努力はかなり報われるなぁ……
「アキ、敬語。」
「え? …………ぁ、」
チュッ
「っ、!!」
「ククククッ。」
(あぁくっそ…しまった……)
学校のこと話すから、つい……
「はぁぁぁ…アキ、こんな奴に敬語使う必要ないよ。敬わなくてもいいでしょ。」
「おいハル、それは傷つくぞ。」
「傷つく心を持ってるわけ?」
「ん、ん?」
(あれまた?)
ああ言えばこう言うというか、本当はやっぱり仲良いんじゃ……
「ってか、今は生徒会なにやってるの?」
「あぁ、クリスマスパーティーの準備だな。」
(…そういえば、)
俺が小鳥遊の屋敷に連れ戻される前……まだ〝ハル〟だった時にも、そんな話した気がする
(そうだ、確かあの時も「次はクリスマスだな。」って言ってたっけ。)
全然意識できなかったけど、小鳥遊の屋敷に戻ってから新しい土地に連れていかれて学校に通って、それからまた戻って来ていろいろあって、今で…
事が起こった時は10月半ばくらいだったから、丁度1ヶ月くらい経ってた
(新しい学校には、ざっくり1週間ちょい?約2週間くらいいたんだっけ……)
あのクラスも、良いクラスだったなぁ。
(俺、何も言わずに戻って来ちゃったのか。)
夢見が悪くてとにかくご飯が喉を通らなくて痩せてしまって、みんなたくさん心配してくれてたのにな…
「……アキ?」
「アキ、どうした?」
「ぇ、ぁ、うんん何でもないっ、」
「本当に? どうしたの…?」
「いや、その……」
(前の学校の事とか、言っても大丈夫かな…)
せっかく連れ戻してもらったのに嫌な気持ちにならない……?
ポンッ
「アキ、言いたいことは話せ。」
「っ、レイヤ…」
優しく頭を撫でられて、「大丈夫だ」と言うように見つめられて
「ぁ、の……えっと、何かこの1ヶ月あっという間だったなぁって思って、前の学校の事思い出して…クラスちょっとしか居なかったけど凄く良くしてくれて……それなのに何も言わずに帰って来たから。
…お、落ち着いたらまた、お礼だけでも言いに行きたいなぁって……、」
「いいんじゃねぇか。」「うんうんっ。」
「ぇ、」
(否定されると思ったのに……)
「いいの…?」
「うんっ、寧ろ僕も一緒にお礼言いに行きたいな。アキのこと有難うって。」
「そうだな。いいクラスだったみてぇだし。」
(っ、2人とも……、)
優しすぎて、胸がぎゅぅっとなる
「それに、お前が住んでた家にも用があるからなぁ…?」
「っ! そ、それはもういいって、」
「ん?住んでたところ…??
ーーーあぁ、そう言えば、」
(ぁ、)
ニコリと、ハルが笑う
「父さんも心配してたんだよ、〝アキが痩せてる〟って。雷だけの所為だけじゃないよね?」
「ぃ、いやっ、その…、」
「レイヤは聞いたみたいだね。僕にも教えてよっ。」
「あぁいいぜ。」
「ちょっ、!」
止めようとしたけど一足遅く、レイヤにがっつり抱きしめられ動けなくされて
そのまま話が始まってしまった…
「ーーーへぇ、〝気味が悪い〟ねぇ。」
ビクッ
「っ、」
思ったより低い、ハルの声
笑ってなくて無表情で、笑顔で怒る時よりもずっと怖い
「アキのどこが気味悪いの?
僕と似てるから?双子なのに当たり前なのに、何言ってくれてるの?隠されてたのだって僕らのせいじゃないのに…
嗚呼最悪、理解が出来ないんだけど。」
「全く同感だな本当。」
「いつ行く?僕いつでも準備できてる。」
「ちょっ、ちょっと待って!
2人とも、本当に大丈夫だから!俺もう何とも思ってないしっ、」
(今が幸せすぎて、本当にもうどうでも良くて…だから、)
「今はそうでも言われた時は傷ついたでしょ、すごく!!
それが許せないの……っ、」
「ハル…」
「俺もハルの意見だな。まぁ今回はお前が折れろアキ。」
「そう言うことっ。僕譲らないからね、ちゃんとアキのお兄ちゃんとして〝挨拶〟してくるから。」
(〝挨拶〟って……、)
いやそれ絶対挨拶じゃ終わらないやつ…2人とも顔怖いし
(でも、レイヤに言われた通り今回は俺ハルに勝てなそうだし……)
諦める、か…
(ってか2人のこの一致団結力はなんなんだ?)
仲がいいのか悪いのか…見てて面白いけど……
まぁ、もういいや。
「じゃぁ、また来るからねアキっ。」
「うんっ、待ってるね。」
見送る為外に出た玄関先で、互いにぎゅぅっと抱きしめ合う
「アキ、ちゃんとお袋や親父に甘えろよ。あいつらもそれを望んでるから、やってあげねぇと悲しむぞ。」
「えっ、」
(甘えるって…ど、どうやって、)
む、無理ハードル高すぎる……っ、
「っ、ははっ、そう固まんな。
まぁ、これからゆっくりだな。」
ハルとは違う、包み込むような優しい抱擁
さらりと髪を撫でられて、ゆっくりとキスを交わしあって
「嗚呼、離したくねぇなぁ。」
「っ、レイ、ヤ……」
(俺も、離れたくない……)
キュッと制服の裾を少しだけ掴むと、すぐに気づいてくれて苦笑される
「もうちょっとだからな、アキ。また直ぐに来るから。」
「ん。待ってる。」
そのまま、どんどん離れて行く2人を車を見送った
(ハルも、こんな気持ちでこれまでいたのかな……)
ーーー見送る側って、胸がギュッてなって切ないね。
「アキくーんっ!」
「ぁ、トウコさん。」
「寒いから家の中入ってらっしゃい!今日はアキくんの好きなシチューよ〜!」
「っ、はーい!」
(そっか、俺1人じゃ…ないんだ。)
誰かに大事そうに名前を呼ばれることがすごく嬉しくて、小さな子どもみたいに全力で家の中に入った
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