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「寒くないか、アキ?」
「はいっ!大丈夫です。」
「良かった。その上着はプレゼントですか?」
「そうです、ハルとお揃いで。あ、このマフラーはハルから貰ったんですっ!」
「へぇ良くできてんなぁ、流石だ。だが……」
「これからハルくんになることですし、残念ですがそのマフラーは外しておいた方がいいかもしれませんね。」
「ぁ……」
(そっか、そうだった。)
俺、またハルになるんだ。
「上着はまだ大丈夫ですが、マフラーはこれから学園にも付けていくでしょうし、念の為取っておくべきかと。」
「そうします。」
名残惜しいけど、先生達からの警告に素直に従って持ってきた袋の中に入れる
ハルがくれた折角のチャンス
しっかり、みんなにプレゼントを渡しきりたい。
(しっかし、ハルと入れ替わってからもっかい俺になるなんて思ってもみなかった。)
〝ハルじゃない〟って、バレないかな……
一気に緊張が押し寄せてきて、フルリと体が震える
「…やっぱり、前通ってた時とは違いますよね。」
「そう、ですね……」
「クスクスッ、大丈夫ですよ。」
ふわりと櫻さんが微笑む
「皆さんが、フォローしてくださいます。」
「ーーーぁ、誰か立ってる。」
見えてきた学園の門の下
傘をさして佇んでる人影が見える
(あれは…)
「月森、先輩……?」
「前に停めるからな。」
キキッとぴったり先輩の前に停まって、ガチャリと先輩の手がドアを開けてくれた
「こんばんは、アキ様。」
「先輩…もしかして、ずっと待っててくださったんですか……?」
「ふふっ、これくらいどうって事ないですよ。」
「そんな…」
俺のために、そんな事しなくてもーーー
「アキ様。」
「っ、はい、」
「その様なお考えは、されませんように。」
「お約束したでしょう?」と静かに笑われる
「私は、あなた方の為に仕えているのです。
貴方は私の主人だ。これで良いのですよ。」
「……っ、はい…」
(これに、慣れる日なんて来るんだろうか?)
差し出された手を取って、さされてた傘の中に入る
「じゃ、俺たちはこのまま行くから。お前らもクリスマス楽しめよ。」
「はい、有難うございましたっ。」
「お互いに良いクリスマスを。
それと…はいっ、これ。」
「ぇ、」
窓ガラスが開いて、コロンっと手の上にラッピングされた小さな箱が落ちてきた
「メリークリスマス、アキくん。」
「本来不平等が生まれるから教師からはやっちゃいけねぇもんだが、お前らは特別だ。今回だけな。」
「ハルくんとお揃いのものにしましたよ。後で開けてみてくださいね。」
「っ、せん…せ……」
俺もガサガサと持ってきた袋を漁って、見つけたものをパッと手渡す
「俺もこれ、先生たちへ。」
「わぁっ、可愛らしいですね!」
ーーーそれは、毛糸で編んだ雪だるまの編みぐるみ
トウコさんから貸してもらった本の1ページ目にこれが載っていて、真っ先に作り始めた
(大人の人たちはきっと何でも持ってるだろうから、こういうのはどうかなって。)
トウコさん達にも食事をしてる時に手渡した
3人ともびっくりした様子で…でもそれぞれに喜んでくれて、作って良かったなぁって思って
「何貰ったんだ櫻? おぉ、可愛いなぁ。」
「ふふふ、並べて飾りましょうか。」
「そうだな。それこそ車の中に飾れそうだ。」
「本当ですね!」
(良かった、喜んでもらえた……)
梅谷先生はどうかな?と思ったけど、大丈夫そうだった
「アキ様、そろそろ参りましょうか。」
「ぁ、はいっ、」
「じゃぁな。」と去っていく車を手を振りながら2人で見送って
「先生方もデートですかね?」
「あの様子ですときっとそうでしょうね。明日はお休みですし。」
クスクス笑いながら、学園の方へと歩いて行ったーーー
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