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[written by 花町]
side: アキ
(そ、だったんだ……)
凄く幸せそうな雰囲気だし明くんも可愛いし、きっと素敵な出会いなんだと思ってた
でも、その笑顔の裏には壮絶な過去があってーーー
「アキ。」
「ぁ、」
レイヤが横からキュッと手を握ってくれる
コソコソ…
「そんな顔すんな。あの人たちはちゃんと言うべきことを言ったまでだろ。前向いとけ。」
「っ、で、でも、」
「それに、恐らく俺たちにんな顔して欲しくねぇと思ってる筈だ。ほら、俺たちの話すんぞ。」
「ーーーっ、」
(確かにそうだ。)
チラリと2人を見ると、心配そうにこちらを見ていた
今、2人は辛い過去を乗り越えて幸せそうに笑っている
それなのに、こんな顔をするのは失礼だ。
「あ……っ、ぇっと!」
こんな事してる場合じゃない!!
話さなきゃ。俺たちも俺たちのことを。
(あれ? でもーーー)
「えっ………とぉ……?」
勢いよく頭を上げたはいいが、
俺たちの馴れ初めって…一体〝何処から〟なんだ……?
「……クッ、ハハハッ。」
しょうがねぇなぁと言うようにポンっと頭に手が乗った
「1番初めに出会った時、こいつは〝アキ〟って名前じゃなく〝ハル〟って名前でした。」
「え?」 「どういうことだ?」
「こいつには双子の兄がいるんです。 な? アキ。」
「ぁっ、はい、そうです。
もともと今行ってる学校にはハルが通う予定で。でもハルは身体が弱いから、俺がハルになりきって友達付き合いとか先生周りとか色々整えてストレス無く通える状況を作って、それから交代する予定でした。」
レイヤが作ってくれた導入から、一気に話をしていく
「そう…なんだ。2人で通うって選択肢は無かったの?」
「はいっ。実は俺がハルと双子ってことはほんの一部の人たちしか知らなかったんです。だから表上は、ハルは小鳥遊のひとり息子とされてきました。」
誰も俺の事なんか知らなくて、だから俺がハルってことを疑わなくて……
(今思えば、凄い環境にいたよな俺。)
もしあのままだったらと思うと…心臓がヒヤリとする
「そうか…で?そんな中2人はどうやって〝出会った〟んだ?」
ハルとしてはもう前々から出会っていた
だけど俺は〝アキ〟として、どうやってその状況から〝出会った〟のか。
「こいつが本物のハルと入れ替わった日に、一目で分かりました。」
俺が口を開く前に、隣から凛とした声が聞こえた
「入れ替われるってことは一卵性だったんだよね? しかもアキくんの事は誰も知らなかったのに…どうやって分かったの?」
「〝心〟が違ったんです。」
心は目には見えないけど、会った瞬間にすぐにわかった
〝こいつは昨日までここにいたハルではない〟と。
「そこからは、本物のハルが全てを話してくれました。あいつは元々全部を話すつもりだったみたいで、包み隠さず全てを教えてくれた。それから、俺たちはこいつの名前が〝アキ〟なんだって事を知りました。」
そこからは、みんなで準備して小鳥遊の家に行って俺を助けるべく動いてくれて……
「それで、今があります。」
手を握られたまま真っ直ぐ前を見て話すレイヤに何故だか泣きそうになりながら、俺も前を向く
「そう、だったんだ…なんだか凄い……
ん、あれ? でも2人はいつから恋人同士だったの?」
「そう、そこですよね…んー……
俺は自分のことをちゃんと知ってもらって、もっかい話した退院後のあの瞬間かなぁって思ってるんだけど……」
「まぁ形としてはあの時だろうな。
でも俺としては納得いってねぇ、もっと前だった。」
初めてレイヤが俺の事を好きと気づいたのは、体育大会後の決算書作成の時…雷が鳴り響いた日だったらしい
俺が自覚したのは夏休みの花火見せてもらった時で、〝ハル〟として付き合う事を了承したのは文化祭後半の後夜祭で……
(レイヤは「あの時好きだと気づいたのはお前だ。」って言ってたけど、でも俺その時ハルだったし……)
とすると、俺たちの恋愛は一体いつからなんだ?
これ結構考えるけど…わかんないんだよなぁ。
「……まぁ、以上が俺たちの話…なんですけど、」
(もしこれで部屋から出られなかったら、確実に俺たちの所為だ。)
だって俺たちの馴れ初め曖昧すぎる……
生い立ちが生い立ちだし環境が環境だったけど、もしこれでダメだって採点されたらどうしよう…これが全部だしなぁ……
ってかそもそも誰が採点してるんだ? これでOKくれないかな…NGだったら優紀さんたちにも迷惑かかる
(頼む……採点者の人………っ!)
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