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[written by 花町]
side: アキ
(はなまる!良かった!!)
曖昧すぎてどうしようって話だったけど、大丈夫だったみたいで安心
ガチャッ
「「ぁ、」」
優紀さんと振り返ると、すぐそこにはさっきまで無かった扉があった
「扉だっ!明良かったね、帰れるよ!」
「えーやだ!まだここであそびたいー!!」
「クスクスッ、レイヤ良かったね。」
「はぁぁ、やっと解放されんのか……」
「にしても本当不思議な作りだな…どうなってるんだこの扉?」
それぞれがそれぞれだけど、まぁ置いといて
各自食器を片付けていそいそ帰る準備に取り掛かった
「わぁ……遂に終わりかぁ。」
「そうだねぇ……」
この部屋において紙の存在は絶対
だからさっきの紙に〝今回で最後〟と書かれていたということは、恐らくそういうこと。
(何か、寂しいな。)
初めて此処へ来た時はどうしようかと思ったけど、でも3人とも凄くいい人たちだった
明くんの元気さにどれだけ助けられたことか…いつもいつも明るく笑ってて、本当におりこうさんだった
優紀さんも料理上手で裕二さんも慌てる事なくどっしりしてたし、本当いい夫婦。
(これからも、ずっと幸せが続くといいなぁ。)
住んでる世界?時間線?は違うみたいだけど……
ーーーでも、本当にそれを願ってる。
「……ね、アキくんレイヤくん。僕ね、君たちに会えて良かったよ。」
「っ、ふふふ、俺も同じこと考えてました。レイヤも?」
「そうだな、俺たちだけだと正直不安だったろうからな。誰かが居てくれて良かった。しかもそれが裕二さん達で。」
「全く大人だなぁレイヤくんは。俺もそうだよ、君たちが居てくれて助かった。もう終わりだと思うとなんだか寂しいな。 いろんなことがあったなぁ……」
本当、いろんなことがあった。
初めましてからそのまま2日間一緒に過ごして
また呼ばれて、次は本物の猫耳と尻尾が生えてしまって
そして最後は馴れ初めの説明という、これまでより遥かにハードルの低いお題で
(いや、順番……)
まじでこの順番謎だな…まぁ上手くいったからいいけど。
「ママ、お兄ちゃんたちにはもう会えないの?」
「ぁ、えっ…と……」
扉を潜らずにその前で話す俺たちの空気を感じ取ったのか、明くんが不安げに見上げていて
「……クスッ、大丈夫だよ。」
それをふわりと裕二さんが抱きかかえた
「次会うのは少し先になるかもしれないけど、でもまた会えると思うよ、必ずね。」
「ほんと……?」
「勿論!ね?優紀。」
「っ、ぅん、!」
微かに目を潤ませながら、ぎゅぅっと優紀さんも明くんを抱きしめた
「……ふふ、本当いい家族だよな。」
「そうだな。」
3人で抱きしめ合う姿は凄くキラキラしてて、幸せが伝わってきて
(なんか、ハルに会いたくなってきた。)
今何してるんだろうな、部屋いるかな?
俺もハルにぎゅってしたい。
「さて、いつまでも立ち止まってては駄目だな。
先に行くか。」
裕二さんが笑って一歩を踏み出した
優紀さんと明くんも、その後へ着いていくように歩いていく
〝いつまでも立ち止まってたら駄目〟
(確かにそうだな。)
〝出会い〟は、人の人生を豊かにし自身の視野を広げてくれ、
ーーーそして自分自身を成長させてくれるもの。
〝別れ〟は当然出会いとセットで付いてきて、出会いが大きければ大きい程、辛く悲しいものとなる。乗り越える期間も人それぞれだし、乗り越えない人だっている。
だって、離れたくないから。
でも、そう思わせてくれた人と出会えたことは、人生においてかけがえのないものを手に入れたということで
そのかけがえのないものに〝気づけた〟こと自体が、自身の成長なのだ。
(強いなぁ、裕二さん。)
流石は大人とか流石はお父さんとか、そういう問題じゃない
俺も、もっともっと強くならなきゃなぁ。
「アキくん、レイヤくんっ。」
「はいっ!」「何ですか優紀さん?」
「また会おうね。絶対。」
「「ーーーっ、はい。」」
「それじゃ、また会える日まで。」
「バイバイお兄ちゃんたち!またねっ!!」
涙をどうにか堪えて、それぞれに手を振りながら笑ってさよならをして
バタンッと閉じた瞬間、大きな手がクシャリと髪を撫でた
「〜〜〜っ、レイヤ、」
「ん。またどっかで会えんだろ。
ほら、俺たちも帰んぞ。」
「っ、ぅん、帰る!」
溢れてしまった涙に気づかないふりをしてくれたのが嬉しくて、グイッと拭いて笑う
「んじゃ、開けるからな。」
「はいっ。」
(帰ったら、みんなに優紀さんたちの話をしよう。)
ここで起きたことや思ったこと、その他色々を
ハルやイロハやカズマや…他のみんなにも
たくさん話そう。
夢の中なんかじゃない
現実で起こった
ーーーこの、不思議な出会いと別れの話を。
fin.
時雨さん、コラボありがとうございました!
本当に楽しかったです!!
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