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(〝私たちの大事なハル〟、ねぇ……)
俺は? なんて、そんな疑問はとっくの昔に捨てた
俺だってハルの隣に女の子がいるなんて想像がつかないし、ハルのことを大事にしてくれる奴・守ってくれる奴と幸せになってほしいと思ってる
だが、父さんと母さんが一度会っただけの男にハルをまかせるなんて、そんなの鼻からごめんだ
(しかも提携とか、会社の利益だって入ってるだろそれ。成績優秀容姿端麗な奴とかもっといっぱいいるだろうし、そこまで疑うんなら他探せって話なんだよ。 ったく……)
はぁぁぁ、と学校まで送ってくれている車の座席にもたれた
これから行く高校は、全国的に有名な偏差値の高い全寮制男子校
CMなどで目にする会社の息子とか将来有望な奴とか頭のいい奴とかがこぞって通う学校だ
(そんなところにハルを入れるとか…絶対ぇあり得ねぇ。)
きっと普通の学校より派閥とかいろいろあって大変そうだ
でも、もうこれは両親が結婚相手である向こうの会社の人たちと決めてしまったこと
大人の決めたことなのだ
(俺、一卵性で本当によかった)
ハルと何ひとつ変わらない顔
性格は違うけど、でも生まれてからずっとハルの隣にいたからハルになりきることくらい簡単
ハルがこの学校でも、体調を崩すこと無く幸せに笑って過ごせるように
(父さんたちに言われなくても、俺がいい環境を整える。)
信頼できる友だちをつくって
同室者とも気を使わずに話せて
先生方にも好かれて
もしハルに何かあっても、みんなが惜しみなく手を貸してくれる…そんな環境を
(そして、〝良い子〟とかいう婚約者とも。)
生半可な気持ちでハルの隣にいてほしくない
ちゃんと、心からハルのことを愛して大切にしてくれるような…そんな奴であってほしい
ってか、そんな奴にさせる!!
(おしっ、待ってろよ……)
ハルの為なら、俺は何でもできる。
「アキ様、着きました。」
バタン、と運転手さんがドアを開けてくれた
さぁ、戦いの始まりだーーー
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